◆従業員の保険関係手続き

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  人を使うには労働基準法や最低賃金法等、最低限度の守るべき法律があります。また、保
 険料や事務負担等も考慮した上で採用すべきです。
  なお、安全に労働させるための環境整備などを規定した労働安全衛生法があり、作業の種
 類などによってはこの法による資格(通称、作業免許などという)の所持者を使わなければ
 なりませんのでご注意ください。
  人を雇うと、事業主はその人を一定の保険制度に加入させなければなりません。その保険
 制度とは所得税でいう「社会保険」(広義の社会保険)である『「狭義の社会保険」(健康
 保険と厚生年金保険)と「労働保険」(労災保険と雇用保険)』で、それぞれ制度の要件に
 合えば、強制適用として加入させることが事業主に義務付けられます。保険料の一部負担や
 保険事務なども事業主の責任となります。
  ここで説明する保険はいずれも事業主が、事業(事業所)の適用手続きを行ない、さらに
 個々の被保険者の資格取得手続きを行ないます(労災保険は資格取得手続き不要)。
  なお、各保険制度は複雑な仕組みになっています。下記は参考に留め、実際に従業員を採
 用する際には事前に各機関や商工会で十分ご相談ください。

 A 健康保険・厚生年金保険(狭義の社会保険)

    病気、死亡などの不測の事故や老後の生活に備えて、働く人たちが収入に応じて保険料を出し
   合い、これに事業主も保険料の半分を負担し、いざというときに医療や年金・一時金の給付を行い、
   誰もが安定した暮らしを続けていけるようにするのが社会保険(健康保険・厚生年金保険)の目的
   です。
    我が国では、医療保険は国民すべてがいずれかの制度に加入する「国民皆保険」、また、公的
   年金は国民すべてがいずれかの制度に加入する「国民皆年金」の体制がとられています。
    医療保険には、民間の会社等で働く人を対象としている健康保険(政府管掌保険、組合健保)、
   船員を対象としている船員保険、公務員等を対象としている共済組合、それ以外の自営業の人な
   どを対象としている国民健康保険などがあります。
    公的年金には、全国民を対象として基礎年金を支給する国民年金、被用者を対象として報酬比
   例の年金を支給する厚生年金保険等(民間の会社等で働く人を対象とする厚生年金保険、公務
   員等を対象とする共済組合)があります。

     社会保険制度についての詳細は、厚生労働省並びに社会保険庁のホームページをご参照
    下さい。
         ⇒厚生労働省/http://www.mhlw.go.jp/
         ⇒社会保険庁/http://www.sia.go.jp/seido/index.htm
    

 B 労災保険・雇用保険(労働保険)

   労働保険とは労災保険と雇用保険を総称した名称です。

  ☆労災保険とは
   労働者が業務上の事由又は通勤によって負傷したり、病気に見舞われたり、あるいは不
  にも死亡された場合に被災労働者や遺族を保護するため必要な給付を行う制度です。

  ☆雇用保険とは
   労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に、
  労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、再就職を促進するため必要な給付を行う制
  度です。

  ◎労働保険料の納付
   保険給付については両保険制度で個別に行われますが、保険料の納付は農林水産・建設
  業等を除き労働保険として一体のものとして取り扱われます。(一元適用事業)
   また、農林水産・建設業等の事業内容から一律に処理しがたい実態にある業種について
  は、特例として両保険を別個に取り扱い、保険料の納付も別々に処理されます。(二元適
  用事業)    労働保険制度についての詳細は、厚生労働省のホームページをご参照下さい。     ⇒厚生労働省(労働保険制度)/        http://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/daijin/hoken/980916_1.htm

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