◆企業形態の別

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 企業形態としては、大きく分けて個人事業、営利法人、組合の3つが考えられる。

1 個人事業

 ☆メリット

  個人事業の特徴としては、まず開業手続きが簡単であること。思い立ったらいつでも開業できる。元手資金はいくらでも構わない。経理上では、簡易な帳簿をつけ、決算時には損益計算書を作るだけで貸借対照表は作らなくても済む。所得(利益)が少ないうちは、税金負担も少ない。
 固定的な経営コストは法人よりも明らかに少なくて済む。

 ☆デメリット

  一方、事業に失敗した場合のリスクは大きく、個人の財産を失う可能性が高い(無限責任を負う。ただし、法人の場合でも役員の連帯保証により、それを免れることは実際上困難)。資金調達、取引上の信用、事業拡大、人集め等の点では法人と比べて不利ではある。税金面では、所得税は累進課税制度のため、所得が大きくなればなるほど税率が上がって税負担が増大していく。
  また、個人事業ではいくら良い実績を挙げても経営者の死亡により廃業となり、形の上では後継者は新規開業として実績ゼロからスタートする。
  一般的には、個人事業で立ち上げ、経営が軌道に乗り余裕が出てきたら法人化も考えてみるということで良いと考えられる。

2 営利法人(合資会社、合名会社、株式会社)

  一般に「会社」あるいは「法人」というと、この営利法人を指す。法人を設立するということは、経営者個人とは別の独立した人格を持つことを意味し、そこからさまざまなメリットが生まれる。

 ☆メリット

  法人登記により、事業としての存在証明を得ており企業の内容が公開されているので、社会的信用を得やすい。
  資金面では、個人事業が一人で資金調達しなければならないのに対して、法人は設立の際などに第三者から出資してもらうことにより、必要資金の一部を調達することが可能となる。個人が親戚や知人から資金調達をするのは借金の域を出ない。しかし法人に対しては、同じカネを出すにしても出資あるいは株式購入であれば、いつか将来の利益還元を目した投資なので、より広い範囲から制約の少ない資金調達が可能となる。
  法人については、平成18年5月に施行された「新会社法」により、実質的な改正が大幅に行われました。有限会社制度は株式会社制度に統合され、最低資本金の撤廃や機関設計の柔軟化などもその一つです。
  金融機関から融資を受ける際にも、法人という肩書はものをいう。有限会社にしろ株式会社にしろ、法人を設立するためにはいくつかの要件を満たす必要があり、手続きを経なければならない。少なくともこうしたいくつかのハードルをクリアしたということ自体、一定の基準を満たしている証明となる。
  また税金の面では、法人税は平均課税(固定税率で税額計算)のため、税額は法人所得に対して比例的となる。さらに、会社から役員が給料を取ればその所得に対して給与所得控除が付く。経費としては、一般の経費に加え、社長の退職金などが認められる。   法人制度本来の意義は、法人格に関しては相続の問題が生じない(経営者本人の死亡とは無関係に存続する)ことと考えられる。しかし、零細な企業の現実として、経営者の交代があれば同じ会社だといっても説得力はないのが一般的であろう。

 ☆デメリット

  ただし法人には、さまざまな経営コストが個人事業よりも大きくなる(固定的な維持費そのものも増大する)、赤字でも納税が必要、会社を解散するにも大きな費用がかかる、社長とは別の人格を持つということから法人としては過去の実績がなく金融機関借り入れがしばらく困難、などの問題もあることを念頭におくべきである。
  安易な法人設立は避けるべきである。

3 組合

  任意組合と法制組合がある。
  任意組合は、簡単にいうと法的には組合長イコール事業主という、個人事業と同じ扱いになる。すなわち、事業主(組合長)が無限責任を負う。
  法制組合は、法律に基づいて設立された法人事業であり、いずれも営利を目的としないことが会社との大きな相違点である。
  根拠法規や事業内容等により、事業協同組合(事業協同小組合)・企業組合・商工組合・協業組合などがある。   それぞれ組合制度については、新潟県中小企業団体中央会のホームページを参照されたい。
 ⇒【参照先】   http://www.chuokai-niigata.or.jp/sosikihikaku.html

  企業形態について概要を説明しましたが、実際にどのような形態にしたら良いのか、悩んでしまう人もいるでしょう。判断材料のひとつとして以下のホームページを紹介します。

 ⇒DREAM GATE(ドリーム ゲート)/
        http://www.dreamgate.gr.jp/feature/knowhow/manual/pre05.html

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