◆資金調達計画の作成

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  開業する際に、必要な最低限の資金のうち、自分で賄えない部分がある場合は借金をするのが当たり前である。当然のことではあるが、ここでは他人の評価が入ってくる。相手が個人であれ金融機関であれ、どれだけ説得できるか、どれだけその事業を認めてくれるかが大きなポイントである。
  ここでは開業する際にどのような資金が必要となるのか、またその調達の仕方について考える。

A 開業資金

  開業時に必要となる資金は、大きく分けて設備資金と運転資金である。資金計画は多少余裕が必要。全体の5%程度は予備費として用意する。

(1)設備資金

  ア 店舗、事務所を借りる際の権利金、改装費
  イ 店舗、事務所の購入費
  ウ 設備、機械、什器、備品などの購入費、またはリース料
  エ 開店費用(開業時の広告宣伝、販促ツール、消耗品など)…繰延資産
  オ 開店時の商品等仕入代金…運転投資資産

(2)運転資金

  ア 開業後の商品等仕入代金
  イ 諸経費(人件費、家賃、水道光熱費、通信費、その他販売管理費)

B 自己調達

  自己資金の調達方法としては、両親、兄弟、親戚といった身内からの借金が考えられる。ここで大切なことは、借用書を取り交わしておくことである。借用書には、給付金額、利子、返済開始期日、返済方法などを明記し、贈与にならないようにする。
  また、友人、知人から借りる場合、借用書を作るのは当然として、借りるにあたっての条件、例えば何%の利息を支払う等も提示すべきである。気をつけることとして、「成功したときには…」といった見返りを期待されることは、へタをすればいわゆるヒモ付きになってしまい、自分の意志で商売ができなくなってしまう危険性がある。相手が何の目的で融資しようというのか、根底にある意志を十分に知っておく必要がある。

C 民間金融機関への融資対応

  銀行からの融資を受けるための第一歩は、まずメインバンクを決めること、そして定期的な預金を続けて信頼関係を作ることから始めなくてはならない。ポイントは定期的ということ。平均残高は融資の際の1つの判断材料とされる。また取引先の信用度リストも融資決定の基準になる。
  チェック項目としては、
   ア 担保、保証人の有無
   イ 経営者の分析(経営に対する姿勢、先見性、熱意、健康状態)
   ウ 経営計画
   エ 財務分析(収益性、安定性、成長性)
 といった点が挙げられる。いずれにしても、駆け込み融資はダメ。銀行は計画融資をあくまで基本としているからである。

D 政府系金融機関への融資対応

  政策金融改革により制定された「株式会社日本政策金融公庫法(H19.5.18成立)」によって、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫、国際協力銀行(国際金融等業務)、沖縄振興開発金融公庫の5つの機関が統合し、平成20年10月に「株式会社日本政策金融公庫」として発足しました。(沖縄振興開発金融公庫は平成24年以降に統合します。)
 旧国民生活金融公庫が行っていた、小企業への小口融資や創業支援などの事業資金融資(経営改善貸付(マル経)、生活衛生資金貸付を含みます。)は、そのまま日本政策金融公庫に承継されています。
 融資制度や融資手続きなど、詳しくは、鞄本政策金融公庫のホームページをご覧下さい。
  ⇒鞄本政策金融公庫    http://www.jfc.go.jp/

E 金融機関から融資を受けるコツ

  融資を受ける際に、最終的には融資担当者を納得させなければならないが、そのためにはまず、事業計画を十分説明しなければならない。
  民間金融機関は営利企業として利益を上げる責任がある。担当者は、判断材料が何もなくただ「私を信じろ」というリスクのみ多い融資申込には乗れない。事業実績や返済振りを重視するのは当然である。新規開業時点では実績がないため、借入は困難なものと承知しておくべきである。創業支援する公的融資の活用を考えたい。
  窓口を通して申込みをする場合には、次のような点を明らかにする。
    a 事業の目的…………なぜ、その事業、商売をはじめたいのか
    b 立地と業種…………どこで、どのような業種をはじめたいのか
    c 必要資金総額………その事業、商売を始めるにあたってどの程度の
               資金が必要になってくるのか
    d 資金の調達方法……自己資金はどのくらいあるのか。また不足分は
               どのようにして調達するつもりか
    e 開業してからの売上げ予測と収支の見込み
    f 経営方針……………どのような考え方にたって経営をすすめていくのか
    g 担保、保証人をどうするか
  個人事業の場合、設備資金を申し込むには「設備資金の見積書」「青色申告決算書」(白色申告の場合は「収支内訳書」)「試算表」を用意する。法人が設備資金の融資を受ける際には「設備資金の見積書」「登記簿謄本」「決算書」「試算表」は揃えておきたい。
  店舗経営の場合は、店の見取り図、製造業では製品の見本などを持参するのも、担当者を説得するのに効果的である。

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