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商工連ニュースにいがた掲載記事

[まちの元気じるし]シャンピニオン
妙高高原商工会 (商工連ニュース23年2月号掲載)

新潟県南西部に位置する妙高市は、面積の約8割が森林で、四季の移ろいが感じられるリゾート地です。
今回は、旧妙高高原町にある、手作りパンのお店「シャンピニオン」をご紹介します。

   シャンピニオン

  949-2106
  
新潟県妙高市大字田口930−54


  TEL:0255(86)4478
  URL:

  http://www.shokokai.or.jp/15/1554510160/
↑クリックするとPDFで表示されます。 ご主人の新井和幸さんと奥様の貴子さん

 

パン作り一筋

シャンピニオンとは、フランス語でマッシュルームの事。山のキノコをイメージして名付け、店は昨年、創業25周年を迎えました。
ご主人の新井和幸さんは、上越市生まれの55歳。高校卒業後に上京し、パン屋に就職して以来、“パン作り一筋”の人生を歩んできました。就職した頃は高度成長の真只中で、忙しい中にも、やりがいのある日々を過ごしたそうです。その後、地元で再就職し、同じ店で働いていた奥様の貴子さんと出会いました。いつか自分達の店を開きたいという夢を抱いていた頃、たまたま、奥様の地元、妙高高原の駅前で居抜き物件があるという話が舞い込み、独立へと踏み出しました。創業当初は語り尽くせないご苦労があったそうですが、夫婦の真面目な人柄が受け入れられ、地域で親しまれる店へと成長していきました。
独立から10年後に現在地へ移り、念願の店舗兼住宅を構えました。本当の意味で一国一城の主となったご主人は、「この時は本当に嬉しかった。」と、笑顔で話してくださいました。
  

病からの再起  

新装開店から5年後、順風満帆な経営が続いていた矢先、予期せぬことにご主人が脳梗塞で倒れてしまいました。医者からは車椅子の生活になるだろうと言われ、再発の不安を抱えながらも、「まだ子供も小さかったし、自分が頑張るしかない!という気持ちで、人の倍はリハビリをしました。これまでで一番辛かった時期。思い出すと今でも涙が出ます。」と、当時を振り返ります。懸命のリハビリと家族の献身的な支えのお陰で、店は半年間の休業後に再オープンすることが出来ました。
体を労わりながら、奥様と義妹らと共に店を切り盛りし、10年が経ちました。二人の子供も大学生になった今、奥様からは「肩の力を抜けば楽になると思うよ。」と言われるそうですが、ご主人は「このままでいいのか、もっと何か出来るんじゃないかと思うことがあってね。焦っているのかな。俺が悪いんだろうけれど、その事で衝突することも度々…。」と話し、その表情からは言葉にならない葛藤と、支えてくれる奥様への感謝の気持ちが入り混じる、複雑な胸の内が伝わってくるようでした。
   

小さな店の強みを活かして

シャンピニオンでは、『医食同源』をモットーに、自家製の天然酵母を使い、出来るだけ余計なものは加えない、体に優しいパンを食卓へ届けることを心掛けています。
「昔ほど忙しくなくなったよ…。」と言いつつも、地域の数少ない手作りパン屋さんとして評判は上々。地元直売センターでの販売のほか、学校や施設等からの注文も受けています。
更に土地柄もあり、近隣ペンションやレストラン、外国人別荘から“特注”の依頼も多く、それぞれのロットは小さいものですが、大切にしているお客様です。当然ながら、依頼主はこだわりを持ち、材料はもちろん、1g単位の加減や、焼き上がり具合の調整など、注文内容は様々ですが、そこは小さな店の強み!細かい要望にも対応しています。
会話の中からアイディアが浮かんだり、逆に提案したりすることもあるそうで、互いの想いが合致した瞬間は格別と、腕に力が入ります。また、レストラン等で食された方がわざわざ店に足を運んでくださることもあり、パンを通じた交流も楽しみのひとつになっています。

「他店で出来ないことを、ウチでやって喜んで貰えることが嬉しいです。こういう時代ですから粗利を多く頂くことは出来ません。金銭的なこと以上に、ウチのパンが必要とされる限り、一日でも長く作り続けていきたいですね。」と、強い想いを語ってくださいました。
 
お店に並ぶ自慢のパン(ほんの一部です)
   
     

 

妙高高原の自然とともに

休日にはリハビリを兼ねたトレッキングを楽しみ、妙高の自然を肌で感じているご主人。朝、目が覚めて、今日も一日が始まるという事が嬉しく、これまで以上に一日一日が大切に思えるそうです。
地域の活性化にも繋がればと、商工会の100万会員ネットワークにも登録し、情報発信にも意欲的に取り組んでいます。
「独立した時は、ゼロからではなくマイナスからのスタートでしたが、商工会の指導にも助けられ、細々ながらここまでやってきました。自分達はこの地で育ててもらったようなもの。妙高は自然が多く、冬の雪景色はもちろん、春の新芽はキレイだし、夏は涼しく秋の紅葉も美しい。本当に良い所ですから、たくさんの方から来て頂きたいですね。また、店にも寄って頂ければ幸せです。」と話してくださいました。

店は、国道18号線・豊橋交差点を東側に入った、閑静な住宅街の一角にあります。
妙高の自然と、食のプロも認めるパンの味、ぜひご賞味ください!