Tokamachi Center Web    

商工連ニュースにいがた掲載記事

[まちの元気じるし]丸山隆光園
清里商工会(商工連ニュース22年9月号掲載)

新潟県上越市は、陸と海の交通網が整い、人口20万人超を有する特例市です。城下町として栄えた名残からか、石垣や庭園を持つ家が多く、四季の移ろいを感じさせます。
今回は、上越市清里区で造園業を営む「丸山隆光園」をご紹介します。

  丸山隆光園
  943-0515
   
新潟県上越市清里区武士1429


    TEL:(025)528‐4574
FAX:(025)528‐4580
    URL:http://www.ryukoen.net/
左から、丸山朝之さん、道隆さん、母:弘子さん、隆太さん

萱藪を開墾して

今年で創業40周年を迎える丸山隆光園は、庭の設計・施工、庭木や庭石販売などを行なう"まちの植木屋さん"です。創業者の故丸山隆志さんが、萱藪をコツコツと開墾して、木の一本・石の一個から始め、今では地元一番の品数を誇っています。
隆志さん亡き後は、35歳の長男・道隆(みちたか)さんを中心に、次男・朝之(ともゆき)さん、三男・隆太(りゅうた)さんのほか、四人の職人さんと共に、母の弘子さん、道隆さんの妻・恭子さんら家族で切り盛りしています。
多品種にわたる樹木の維持管理には手間暇がかかりますが、お客さんが実物に触れられる利点は大きく、春と秋には特に訪れる方が多いため、日曜でも留守には出来ないと言います。

「便利な世の中だからこそ、ひと対ひとで、日頃からコミュニケーションを大切にしています。その時すぐに買って貰わなくてもいいんです。何かの時にウチを思い出して頂けたら嬉しいですね。」と弘子さん。ここでのお喋りを楽しみに、訪れる方も少なくないようです。
昔から造園業者の多い地域で、350軒以上ある固定客はすべて個人の方。お客様から新しいお客様を紹介してもらうことも多く、築き上げた信頼関係が感じられます。
  

植木屋三兄弟  

普段は“三兄弟”が別々の現場を受け持ち、兄弟喧嘩のないようひと工夫。個々の性格は、まさに、♪だんご3兄弟♪の歌詞そのものだそうです。
石積みなど細かい作業が得意な朝之さんは元自衛隊員。隆太さんは京都で修業をし、戻ってからは、一番長い時間を父と組み、父のやり方を傍で見てきました。
道隆さんは、仕事の段取りや図案作りを担当しています。高校卒業後に8年間、京都で修業を積み、家に入りました。似たもの親子で仕事熱心さゆえに衝突もありましたが、早くから色々な仕事を任されていたお陰で、常に責任感を持って取り組んでこられたと話してくださいました。閑散期には各地へ出掛け、技術向上のための情報収集は欠かしません。

『敵を作らず、同業者からも好かれた人』という父の人柄も、しっかり受継ぎ、代が替わっても変わらないお付き合いに、「ありがたいです。」と道隆さん。ただ、「親父の頃はこうだったんだけどな…。」と言われると少々複雑な思いもよぎるようです。
「お父さんと同じ事はしなくていいんだから。おまんの色で隆光園を染めていってくれたらいいんだよ。」と、弘子さんは、母の思いを伝えていました。
  

庭造りの第一歩

「木は、同じ種類でもふたつと同じ形のものはなく、石にはいろんな面があって、転がせば転がすほど違う表情が見える。この仕事は本当におもしろいんですよ。」と道隆さんは言い、造園の仕事をもっと知って欲しいという考えから、見学会のような、PRの機会や、新規開拓の糸口に繋がるような妙案を模索しています。
庭造りの第一歩はイメージすること。施主からイメージを聞いて図案を描き、それを基に施工していきます。請負う庭の広さは大小様々だそうです。

「初めから大がかりにするのではなく、一本の木を植える事から始めてみるのも良いものです。色んなものを見て、こんな風にしたいというイメージが沸いたときに、ぜひ相談して欲しいですね。自分で造るのもいいですが、我々が手助けすることで、更に良いものに仕上げることが出来ます!」とプロの自信を覗かせました。

 

“緑ある心豊かな生活を”

今後についてお聞きしました。
「チャレンジしたい事はいっぱいありますが、新しいものがどんどん出てきている時代なので、逆に昔に戻りたいとも思います。昔は隣家の桜が咲いたと言っては、みんなで喜んだものですが、最近は近隣トラブルの原因になることもあるようで残念ですね。気持ちにゆとりのない時代だからこそ、木を大切に育てて欲しい、緑のある生活で心にゆとりを持ってもらえたら嬉しいです。」と話してくださいました。
丸山隆光園は、上越ICから車で約15分。新井柿崎線から見える、大きな看板が目印です。
取材に伺ったのは真夏の夕暮れ時でした。木々に囲まれたひとときは心地よく、癒しを肌で感じることが出来ました。皆さんの日焼けした笑顔が印象的で、その穏やかな表情から、緑のある暮らしの良さが溢れていました。