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商工連ニュースにいがた掲載記事

[まちの元気じるし]株式会社 桝屋本店
三和商工会(商工連ニュース22年5月号掲載)

新潟県上越市三和区は、市のほぼ中央に位置する、のどかな平地農村地帯です。
今回は、老舗農機具屋のイメージを一新して販路を拡げる、(株)桝屋本店をお訪ねし、一昨年、代表取締役に就任した石塚賢一郎さんにお話を伺いました。

  株式会社 桝屋本店
  942-0261
   
新潟県上越市三和区末野新田341

    TEL:(025)532‐2340
FAX:(025)532‐2609
    URL:http://www.honda-walk.com


  株式会社ホンダウォーク 上越店
  943-0896
   
新潟県上越市大字飯1107−1

    TEL:(025)521‐6088
FAX:(025)521‐6080
社員のみなさんと (石塚社長は左から二人目)

創業80年‐後継者の思い

(株)桝屋本店の前身は明治初期に遡り、酒や味噌のほか農作業着等の販売もしておりました。
昭和5年に農業機械の販売をメインに新規創業し、将来を見据えて、平成4年からホンダ汎用特約店となりました。
地域密着型の業界の中で、いち早くネット販売を始めたのが2000年のこと。紆余曲折ありながらも、目線を変えたアイデアで、業績を伸ばしています。
三代目の賢一郎さんは現在47歳。大学を卒業後、大手メーカーに入り、研修生でありながらトップセールスを誇りました。25歳で家業に入りますが、身に付けた営業ノウハウは地元には馴染まず、老舗企業特有の社内摩擦にも苦悩する日々…。とても辛い十年だったと振り返ります。
「当時、周りは敵ばかり。まず一番の抵抗勢力は親父でしたから、辛かったですね。伝統を守り、会社を継続するためには、変革していかなければなりません。実績が数字に表れるようになり、今は理解して見守ってくれていると思います。」と、心境を語ってくださいました。
  

小型機種に特化  

農業の機械化が一段落し、圃場整備や高齢化による農家の減少で、販売競争も厳しくなっていきました。
「ウチみたいな小さな所が、大手と同じ土俵に立っても勝ち目はなく、逆に、小さいからこそ出来ることをしようと考え、これまで脇役だった小型機種に特化することにしました。」とおっしゃり、他店との差別化を図ったそうです。ホンダに小型機種が豊富だったことも、これを後押ししました。
事務所併設の本店は改装を行ない、既存客からは戸惑いの声もあったそうですが、そこは長年の信頼関係でカバー。家庭菜園人気も手伝って、一般ユーザーの販路開拓にも成功しました。
ホンダウォーク上越店含め、各社農機はもちろん、地場産の優れたアウトドア用品など多種多様な品揃えが自慢です。
 
 

 

ピンチを、プラスに変えて

ネット注文が伸びてきた矢先の2007年に、草刈り機のリコールが発生しました。自社では約130台を販売しており、遠隔地へも発送していたため、対応策を模索します。
考えに考えた賢一郎さんは、「送ったものだから、送り返してもらえばいい。」と、シンプルな方法に落ち着き、委託運送会社に相談して、回収用段ボールを特注。運賃諸費用はかかりましたが、メーカーからの工賃等で、何とかまかなう事が出来たそうです。
準備を進める中で、せっかく機械が往復するのだからと、販促への活用が閃き、『有料メンテナンスパック』のチラシを作り、回収用段ボールに同封して送りました。結果、約7割の方から依頼があり、これが思わぬ利益に繋がったと言います。
「考えれば、何かしら方法が浮かぶものなんですね。」と、嬉しそうに話してくださいました。
メンテナンスパックは、各機種に応用させて導入しており、専門店ならではの、痒い所に手が届くサービスは好評を得ています。

 

FC展開を目指して

今後についてお聞きしました。
「仕事でも何でも、自分自身が楽しみながらやることが大切です。社員にも、達成感を持って取り組んで欲しいと思っています。ネット販売の方も好調ですが、近場にちゃんとした店舗があるに越したことはありません。ホンダウォーク上越店は、専門店(商品知識やアフターケア)と、ホームセンター(店舗面積や品揃え)、両方の良いトコ取りをしたような店で、他ではあまり例がないでしょう。今後は、『菜園美楽(さいえんびがく)』の名前で全国展開していきたいと考えており、準備を進めています!」と、新たな目標を掲げています。
社員数は現在17名。入社1〜2年の方が多く、新鮮なアイデアも聞こえてくるそうです。
社長の前向きな人柄と、社内の和気あいあいとした雰囲気が、お客様を惹きつける魅力になっていると感じました。
全国各地で、『菜園美楽』の看板を目にする日も近いのではないでしょうか。