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商工連ニュースにいがた掲載記事

[まちの元気じるし]有限会社 新星堂
守門商工会(商工連ニュース21年8月号掲載)

新潟県中越地方の南東に位置する魚沼市は、山岳・湖沼・森林等の雄大な自然に囲まれ、雪と清流により美味しい米や酒が作られています。
今回は、旧守門村で地域情緒を織り交ぜたお菓子を作る、(有)新星堂をお訪ねし、代表取締役の星達也さんにお話を伺いました。


店舗外観
  有限会社 新星堂
  営業時間:8時〜19時
  定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)


  946-0216
   
新潟県魚沼市須原1375-10
    TEL:(025)797‐2029

    FAX:(025)797‐2051
    URL:http://www.sakecake.co.jp

星さんご夫妻

創業から60余年

(有)新星堂は、昭和27年8月に父が創業した和洋菓子店です。長男として生まれたご主人は、東京の専門学校で学んだ後、数年間の修業を積み、23歳で店に入りました。
地域唯一の専門店で、先代から受継ぐ商品も多く、催事菓子等も含めると60〜80種類になるそうです。材料にこだわり、味には定評があります。
お客様からは、「値段が高くてモノは小さい…」とやや辛口なコメントも聞かれるようですが、リピーターも多く、贈られた方が「美味しかった」と言って来店されることもよくあるそうです。
「うちは田舎のわりに値段が高いかもしれません。基本スタンスは、“材料費をかけて人件費をかけない”こと。人口の少ない地域での商売、人件費を値段に含めたらお客様は来てくれなくなります。良い材料を使って美味しいお菓子を作る!それでも買って頂けなければ、この商売はダメだという気持ちで店を創めましたから、今もそれを崩していません。」と力強く話してくださいました。

『玉風味(たまふうみ)』誕生

全国的にお取寄せブームが浸透する中、(有)新星堂にも各地から注文が入る酒ケーキ『玉風味』があります。
誕生のきっかけは、地元酒造会社からの商品依頼でした。二年の歳月をかけた自信作は、生地がとてもデリケートで、その性格を掴むのに大変苦労したと言います。
『玉風味』の評判は人づてに広まり、六年程前、あるフードライターの取材を機に、関東方面からの電話注文が殺到。一時は対応に忙殺されましたが、一段落してからも、他の商品も食べてみたいと遠方から注文を頂くなど、今でもお付き合いが続いている方も多く、何が縁になるか分からないものだと感じたそうです。
また、品質の高さが評価され、取引依頼や東京進出の誘いがありますが、「うちは田舎の菓子屋でしかなく、自分で管理できない所ではやれません。」とキッパリお断り。それでも出来る範囲で応えようと、デパートの催しには数量限定で出品することもあり、今年からネット販売も始めました。
更に、商工会からアンテナショップへの出店を持ち掛けられ、一ヶ月の期間限定ということもあり、今回初めて受けてみることにしたそうです。
更なる反響が待っていることでしょう。
 

 

受継いできたもの

店は家族経営のため、製造・販売・営業と忙しいご主人は、経営者というよりも、職人タイプの方で、新しい商品を生み出す過程が一番好きだと言います。
「菓子職人は、ネーミングや包装デザインなどを考えてひとつの作品にしていく、まさに芸術家です。五感をフルに使い、こんな面白い商売はなかなかないでしょう。年に最低一つは新商品を考えていきたいですね。」と目を輝かせていました。

今後についてお聞きしました。
「商売は自分で決断しなければ何も進みませんから、父がそうしてくれたように、子供達にも、自分で判断して責任を持って行動するように育ててきました。現在、長男は老舗和菓子店で修業中、次男は大学生になり、これからが楽しみです。店を大きくするつもりはありませんが、いつか長男が帰って来た時に、負担にならない程度にはしておきたいですね。これからもスタンスを崩さず、お客様に美味しいと言って頂けるお菓子を作り続けたいです。」と、笑顔で話してくださいました。

店内には、父の書で作られたケヤキの看板が掲げられ、裏には両親とご主人夫妻の名前が並んでいます。この先もずっと看板が受継がれ、名前が刻まれ続くようにとの願いが込められています。