 |
きんぱちの湯 〒940-2502 新潟県長岡市寺泊松沢町（寺泊水族館隣） ＴＥＬ ０２５８‐７５‐５８８８ ＦＡＸ ０２５８‐７５‐５７７７ URL http;//www.kinpachi.co.jp |
 |
| 常務取締役 難波圭介さん |
［まちの元気じるし］きんぱちの湯
寺泊町商工会(商工連ニュース２０年１１月号掲載)
|
きんぱちの湯 〒940-2502 新潟県長岡市寺泊松沢町（寺泊水族館隣） ＴＥＬ ０２５８‐７５‐５８８８ ＦＡＸ ０２５８‐７５‐５７７７ URL http;//www.kinpachi.co.jp |
|
| 常務取締役 難波圭介さん |
昭和54年に法人化した㈱寺泊浜焼センターは、地元名物浜焼きや食事処・宿泊施設を運営するなど幅広い顧客ニーズに応えてきました。
移り変わる時代の流れをくみ、これからは高齢層や団塊世代を主役にした事業展開をと考えていた矢先、海を臨む土地の有効活用の話が舞込みました。既存の施設が手狭になってきたことと、タイミングよく県から海洋深層水の案内があったことから、それらを活用した入浴施設の建設を計画。循環型資源とも言われる海洋深層水ですが当時はあまり知られておらず、周囲からはうまくいかないだろうと囁かれていたとか…。
そんな中でも、県や研究者からの資金面以外でのバックアップが心強かったと振り返り、県内初となる海洋深層水風呂「きんぱちの湯」が完成しました。
明るい館内には整体・足つぼ"癒し処"もあり、評判は上々。年に何度でも来て頂けるように設定した料金と、数種類のお風呂が評判を呼び、オープン直後から大賑わいとなりました。
 |
 |
「施設規模から、年間14万人来れば合格のところ、20万人の来館者があり、休憩所が満杯で入れない、宿泊予約が取れない等々…お客様から随分とお叱りの言葉を頂いたんです。全国的にも海洋深層水の原水100％の入浴施設は珍しく、県内設備メーカーも試行錯誤でした。塩水対応の設備だったものの、その塩分濃度と予想以上の来館者に機械も追い付かなかったのか、当初は故障続きで修繕費に数千万円かかりました。水質維持のため、一日置きに10tずつ深層水を入れ替るので運送費用も膨大で、正直こんなにコストがかかるとは…。」とタメ息がこぼれました。
大反響の裏側では、想像以上のご苦労があるようです。
新聞などで毎日のように取り上げられる地球温暖化の問題。漁獲量の変化等からも、それを身近に感じていた難波常務は、中小企業でも出来る事をしようと考え、24時間フル稼働している給湯設備の熱供給源を、灯油から木質ペレットに切替える計画を立てました。
入浴宿泊施設ほどの規模をペレット焚きボイラーで賄う案は、これまた県内初の試み。専門業者との連携事業として共同開発を進め、ハネ上がる原油価格に後押しされ、今年9月に本格導入しました。
「既存設備と比較するとCO2の排出量は（カーボンニュートラルにより）98％削減可能です。木質ペレットは、間伐材の再利用と山の活性化、更に製造過程に係わる雇用拡大にも役立ち、一石二鳥にも三鳥にもなる優れもの。デメリットとしては、メーカーによって品質に優劣が出来ること。それが燃焼率の差になるので、製品の見極めが非常に重要となる。そして、燃焼されたペレットの灰は、良質の肥料にもなるので、近隣の農家の方に利用してもらう予定です。設備投資には、既存の三倍近い初期費用がかかりましたが、ペレットの品質と破格での納入、高騰した灯油分のコスト削減もあり、計算上は二年間で投資回収する予定です。」
品質をシビアに見つめる眼差しが光り、自信満々に微笑みました。
「将来は、きんぱちと名の付く店を更にいくつか構えて、『寺泊きんぱち』をひとつのブランドにしていきたい。」と抱負を語る難波常務は、大学卒業後に食品関係の商社マンとして国内外を飛び回り、結婚を機に義父が経営するこの会社に入りました。常務取締役兼・営業兼・広報兼クレーム対応？と、ひとり何役もこなす多忙な毎日ですが、仕事にストレスを感じないとは羨ましい限りです。前例のない新しい事に挑戦するパワーは、これまでの経験で培った、広い視野と感性からくるのかもしれません。
「海洋深層水の浸透と、木質バイオマスを普及させるべく広告塔になれたと思っています。企業利益の追求だけでなく、温暖化対策の一助になればという思いから、同業の方々にも積極的に情報開示していく方針であり、問合せを頂ければ質問や見学など喜んで対応します。」
地域貢献と環境保護への取組みが、企業の垣根を越えて、今後も広がっていくことが期待されます。
 |
 |
|
| 燃焼中のペレット |
