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商工連ニュースにいがた掲載記事

[まちの元気じるし]越後湯澤HATAGO井仙
湯沢町商工会(商工連ニュース20年10月号掲載)

雪深い地域で知られる新潟県南魚沼郡湯沢町は、豊富な源泉により温泉宿が軒を連ね、首都圏など県内外から年間120万人が訪れると言われています。
今回は、懐かしさ漂う旅籠(はたご)を現代に蘇らせた「HATAGO井仙」をお訪ねし、代表取締役の井口智裕さんにお話を伺いました。

  湯澤温泉 HATAGOいせん

 〒949-6101
 新潟県南魚沼郡湯沢町大字湯沢2455

  TEL 025‐784‐3361
  FAX 025‐784‐2013
  URL http;//www.isen.co.jp
代表取締役 井口智裕さん

同級会プランナー

 曾祖父から続く旅館に生まれたご主人は異文化に触れてみたいとアメリカの大学に進み、その後、家業に入りました。
 今後の方向性を模索する中で、中高年層の同級会需要と駅前という立地を活かし「同級会プラン」を立上げました。自ら同級会プランナーと名乗っての様々なサービスは見事顧客の心を掴み大ヒット。追随する施設も増え、まるでカリスマ!と思いきや「これまでに失敗した企画も数々…。」とポツリ。
「このプランは『負を解消する』をヒントに幹事さんの負担や出席者の不満等を解消したものだから自信があった。商売の原点はお客さんが感じている『負』で、それを何とかしてあげたいという誠意が成功に結びつく。」と言い、この成功が「HATAGO井仙」誕生への契機となりました。

現代の旅籠HATAGO

 旅館リニューアルに向けた街頭ヒアリングで、旅館に対して予想以上のマイナスイメージがあることを知ったご主人は、それらを解消し、旅館の素晴らしさを広めたいと考えます。本来あるべき姿を探るべく旅館の原点である旅籠に戻り「旅籠がそのまま現代に進化したら」を軸に、守るべきものは守り、現代に必要なものは取入れるというスタイルを描き、形にしました。
 旅館では珍しい泊食分離。人気の喫茶店は小さな茶屋が始まりでしたが、隣接する売店との相乗効果に驚いたと笑います。宿泊・レストラン・売店・喫茶はそれぞれ独立し、宿泊メインではない顧客との接点も多く、新しいビジネスモデルとして成り立っています。
 アイデア成功の秘訣はセンスと行動力ですかとお聞きすると、
「意図せず結果的に成功したものも多く、やっぱり人間正しい事をする、悪い事をしないようにしていれば、うまく回っていくのかもしれない。やましい気持ちがあるとゆがんでくるんじゃないかな。」この言葉が心に響きました。


企業理念「HATAGO三里書」

1.お客様が満足すること
2.社員が生き甲斐を持って働けること
3.関わる地域と社会が発展すること
「この三つのバランスを保つことを目標に、全ての判断基準にしている。家業から企業になり、社員の入れ替りなどいろんな問題に悩んだ。なぜ社員が辞めていくのか分らず、自分は事業の拡大ばかり考えていたが企業としては間違っていた。演出してくれる社員みんなのベクトルをひとつにすることが自分の役割だと気付き、企業理念をまとめてからは自分自身が楽になれた。」と話してくださいました。

地域で手を取り合って

 地域の食文化の伝達や保存を始め、本当の意味での地産地消にも力を入れています。
 地元業者とタイアップした商品開発も構想にあり、酒蔵との限定酒作りや昔ながらの醤油作りを試案中だとか。
「手間暇を考えると値は張るが、その価値を伝えるのも我々の役目。地域経済の新しい仕組み作りにもなるだろう。試みは実際に作ってくれる専門業者との繋がりが必要になる。商工会は異業種の集まりで他にはない団体であり、その縁で互いの得意分野を活かした事をしてみるのもいいんじゃないかな。」
 趣味が仕事と言うのは淋しいけれど…と苦笑するご主人は、観光圏整備事業の一環でエントリーした「雪国観光圏」のPRで、地産地消など井仙での実際の取組みや、時にはお客さんの代弁者となって、地域全体の底上げがいかに大事かを説き、日々奔走しています。
 夢はアメリカ進出! HATAGOが世界共通のことばになる日も遠くないのかもしれません。

「むらんごっつぉ」 「厩んまや」 「雅MIYABI」 「水屋」