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商工連ニュースにいがた掲載記事

[まちの元気じるし]魚幸 高沢鮮魚店 青海町商工会(商工連ニュース20年7月号掲載)

新潟県の西端に位置する糸魚川市旧青海町は富山県と隣接し、海・山・渓谷など豊かな自然に囲まれています。青海川上流には国の天然記念物「青海川の硬玉の産地」があり、美しい景観は訪れる多くの人を魅了しています。
今回の企業訪問は、青海町にある魚屋さん「魚幸 高沢鮮魚店」をご紹介します。

  魚幸 高沢鮮魚店

  〒949-0302
  新潟県糸魚川市
  大字今村新田字五反721‐2

  TEL 025‐562‐1018

まちの魚屋さん

 ご主人の高沢幸義さんは、青海町生まれの40歳。就職した会社で鮮魚を担当したことからこの仕事にたずさわり、29歳という若さで独立。数年間のテナント営業を経て、一昨年11月に現在の場所に店舗を建てられました。新店舗への移転後も常連さんが来てくださると言い、「うちの客層は中高年の方も多く、美味しいものを少し食べたいというお客さんにはいいんじゃないかな。」と話してくださいました。
 取材中も、『この間の美味しかったよ。今日のお勧めは?』と尋ねる声が聞こえ、まちの魚屋さんならではの和やかな雰囲気が漂っています。

こだわりの自家製干物

 市場では、今日はどんなものを仕入れようかとあれこれ考えを巡らす大切な時間。市場に行っている時が“仕事”で、店に戻ってからは、それが“作業”に変わるのだと言います。市場で戦略を練り、戻るとすぐに行動に移して、新鮮な海の幸が手際よく店頭へと並べられていきます。
 店の軒先で目に止まるのが、細かい網に囲われた大きな木枠の箱。その中では自家製の干物が作られています。風通しは抜群で、細かい網のお陰で小さな虫も一切寄せつけません。「ウチの干物はこうやって作っているよというのが、お客さんからもひと目で分かるから安心でしょ。」とご主人。味はもちろんお墨付きで、お客様がこの製造風景を見て、商品の安全性を理解していただいていることが、購買意欲を高めています。
 店内も、生ものを扱うからこそ衛生面にとても気を遣っていて、どこを見ても清潔感で溢れていました。

旬の味を食卓に

 店の経営方針について伺うと、うーんと考え込みながら、そんなのないよと笑うご主人ですが、「よそに負けたくないという気持ちはあるけれど、それは皆が同じだろうからね。お客さんが何を求めているか考えるし、当然鮮度にはこだわらなきゃならんだろうしね。方針ねぇ…強いて言えば旬を大切にしていることかな。やっぱり旬のものが一番美味しいでしょ。ウチのようなちっちゃい店は大型店と同じ品揃えじゃ勝てないから、お客様から要望される品物も扱うよ。この店の事を理解してもらえるまでが大変だよね。『これ美味しいかね?』と聞かれて即答できるものだけを揃えるよう心掛けている。」と言い、店内には専門店だからこそ出来る、“今一番”のお薦めの数々が並べられています。

毎日の積み重ね

 子供の頃の夢や、一代でお店を始められたご苦労については、「仕事に就くまでは、自分で何かを始めるとか店を持つとか考えたこともなかった。商売は毎日が積み重ねだからね。今となっては大きな過ちをおかしたかもと思うことも…。」と冗談めかしながら、「自分で一から始めた商売なので、他の人の話を聞きながら自分で工夫してやっていくしかないわけだけど、自分のやり方で出来るところがいいんじゃないかな。先のことは分からないけど毎日コツコツやって、地元の人達からの信頼を得ていかないとね。」と言い、奥様と二人三脚で頑張っています。

人とのつながりを大切に

「この仕事に就いていろいろな人に出会って、たくさんの事を教わってきた。この業界には偉い人と言われるような人はいないかもしれないけれど、凄い人がたくさんいると思う。その中にこの人は本当に努力してこられたんだろうなと思える方がいて、尊敬している。それと、人とのつながりというか普段からの付き合いってとても大切だと思う。これからもそれを大事にしていきたい。」
 控え目に話すご主人ですが、話の端々からは内に秘めたポリシーのようなものが感じ取れ、お客さんとのやり取りの中で見える何気ない心遣いと、ご夫妻の明るい笑顔が大変印象的でした。