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商工連ニュースにいがた掲載記事

[まちの元気じるし]味乃家 魚野川/薪石窯焼きピザ アブラッチャトット
堀之内商工会(商工連ニュース20年6月号掲載)

新潟県魚沼市は県南東部に位置し、市の中心を流れる魚野川には数多くの川魚が生息し日本の元風景そのままに四季折々の景色が堪能できます。
旧堀之内町から国道17号線を長岡方面に走り、和南津トンネルの手前右側に見えてくるのが、今回ご紹介する「味乃家 魚野川」。
ご主人で山菜きのこ料理研究家・ガクさんこと覚張(ガクハリ)徹さんにお話を伺いました。

味乃家 魚野川/
  薪石窯焼きピザ アブラッチャトット


 〒949-7416 新潟県魚沼市下島70-1

  TEL 025‐794‐3012
  FAX 025‐794‐5448
  URL
http://www2.ocn.ne.jp/~uonogawa/
ご主人 覚張徹さん

ガクさんのこだわり

「魚野川」は昭和42年にドライブインとしてスタートし、地元で育ったご主人は数年間の東京生活を経てここで働き始めました。やがて店を任されることになり、地元の方も楽しめる店へと模様替え。味へのこだわりということで父が「味乃家」と考えてくれ、「アブラッチャトット」はイタリア語でよろずやのような意味があり、お手製の薪石窯を使って、毎日色んな“"美味しいモノ”を焼いています。
 新鮮な山海の幸を活かした自慢の料理。そのアイデアは尽きず、珍しい食材でもいいモノはどんどん取り入れます。料理とは理にかなったことをするのだから難しく考えなくていいと話し、ご主人持ち前のセンスに食通のファンも多い。
 食べることが大好きで、自分が食べたいから新しいジャンルにも挑戦すると笑うご主人。自身の創作意欲と、お客さんのリクエストに応えていたら、いつの間にか、うちは何屋さん?てくらいに増えちゃって…と言うメニューは、日替り定食、ラーメン、手打ちそば・うどん、パスタ、ピザ等のほか、サービス満載の宴会は大好評で、手に入る最高の素材を使った様々な料理が楽しめます。

ボリューム満点!石窯焼きメニュー 畳敷きの和室にもなる、明るい店内

経営方針は「薄利多忙」

 お客さんが喜んでくれることが第一!ここで長く店をやっていきたいからとご主人は言います。
 豊富なメニューだけでなく驚くのはその安さとボリューム。遠方からのリピーターが多いのも納得です。思わず、儲けはあるのですか、お値段少し上げてもいいのでは…と問うてみたところ、「知人や商工会からもいつも言われるよ、正直利益は少ないです。」と苦笑。
「お客さんが喜んでくれて自分達が生活出来ればいいんじゃないかな。少ない利益で忙しく働く…うちのモットーは薄利多忙なんです。でも、疲れるけど楽しい!自分がやっていて楽しいと思えることが何よりの利益でしょう。これだけ疲れるんだから楽しくなきゃ、やっていられないしね。本当に儲けたいならもっと別の方法を考えていますよ。」と、これからも今までどおり経営方針は貫きます。

励ましに支えられて

 店は平成16年10月に起きた中越大地震の激震ゾーンと言われた場所にあり、長年営業してきた店舗は全壊。更に翌年1月、わずかなスペースで営業を再開した矢先、深夜火災で全てを焼失してしまいました。実は地震の前には水害が…と。聞けば同じ年の夏には水害で店が浸水し、その片付けが一段落した頃の揺れだったと言います。
 地震後は、「壊れてなんにも無くなった。ないものは諦められる。また何とかなる。」そんな風に思えたそうで、追われていた仕事から解き放たれてスッと肩の荷が下りたような気がしたそうです。翌日には店の食材を集めて豚汁をふるまい、その時の地域の方々の笑顔に心が震えたと話してくださいました。
 三度の被災を乗り越え、平成17年8月に新装開店。戸惑いを感じるほどの励ましが支えだったと言い、その感謝の気持ちとあの地震を忘れないとの思いを込めて作った「激震ラーメン」は、今や人気メニューのひとつとなり、店先に掲げた大きな看板が店の目印です。

目印はこの大きな看板

みんなにとっての“自分の店”

 新店舗のコンセプトは「歳をとっても働ける店・歳をとっても来られる店〜爺ちゃん婆ちゃんの山荘にいらっしゃい!」
 店内は、お客さんはもちろん、自分達が歳をとっても働きやすいようにとバリアフリーに。店舗周りなどは再建に向けてスタッフ総出で作業したと言い、愛着もひとしおです。うちには定年がなく頑張ればずっと働いていけるんです。店の最高齢78歳のマキ婆ちゃんがいいお手本だと言い、スタッフみんなが、ここは"自分の店"という気持ちで一生懸命働いているとご主人は誇らしく微笑みます。
 みんなで自分の店を大事にしていこうという想いは、スタッフの皆さんの満天の笑顔となって、ここを訪れる人の心にまで届いてくるようでした。