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商工連ニュースにいがた掲載記事

[まちの元気じるし]株式会社ツカダ運輸:能生商工会(商工連ニュース20年4月号掲載)

新潟県最西端に位置する糸魚川市は、南は長野県、西は富山県と接し、海や山・渓谷・温泉などの豊かな自然に囲まれ、世界的にも珍しい翡翠(ひすい)の産地でもあります。
今回は糸魚川市の旧能生町で運輸業を営み、地域の暮らしを多方面からサポートする株式会社ツカダ運輸をお訪ねし、昨年8月に代表取締役になられた塚田二朗さんにお話を伺いました。


 

塚田二朗さん
株式会社ツカダ運輸

  〒949‐1337
  新潟県糸魚川市大字桂278‐15

  TEL 025‐566‐5105
  FAX 025‐566‐3805

軽トラック一台から

 (株)ツカダ運輸は、塚田一孝会長が創業。きっかけは勤めていた(株)日本通運が合理化による店舗の統廃合を決めたためでした。地域から運送屋がなくなっては困ると一孝さんが会社を立ち上げ業務を引き継ぐことに。田んぼを埋め立て、現在の場所に事務所を構えて組織化したのが平成元年のこと。前身からの土台があるとはいえ、軽トラック一台からのスタートだったと言います。やがて地元農協関係の仕事も請け負うようになって社員とトラック数を増やしていき、着実に地域の信頼と実績を積みます。時代の流れに合わせ長距離輸送で全国を走るようになり会社は軌道に乗り始めました。

 

廃棄物処理のプラント開発

 輸送ノウハウを活かして、町営スキー場設立の際にごみの運搬を依頼されたのを機に、講習を受けた塚田社長は廃棄物処理の奥の深さを知ったと言います。平成11年に許可を得て業務を始め、収集範囲が町内全域へと広がっていく中で、施設等から出る紙おむつ(産業廃棄物)の処分事情を目の当たりにします。大半が水分である紙おむつの焼却処理に疑問を抱き、単に焼却する以外の方法があるのでは、自分達で何か考え出せないかと思い、会長とアイデアを出しあい試行錯誤した結果、殺菌した紙おむつを裁断して水分と繊維質に分解、水分をし尿処理し、繊維質のみを焼却する方法にたどり着きました。そのためのプラント装置を開発し、現在民間施設から委託を受け、運搬から分解まで一手に引き受けています。
 プラントの稼働までには、専門機関による調査にかなりの費用と時間がかかったそうですが、アイデアを考え形にするまでのご苦労もあったのではとお聞きしたところ、「アレコレ考えながら試してみるのは結構おもしろいんですよ。会長のバイタリティに触発されたかな」と笑顔でおっしゃり、開発までの苦労を感じさせませんでした。昨年春には特許を取得し、画期的なシステムに全国の施設等から視察依頼があり注目を集めています。

 

地域の足になって

 運輸業として交通過疎の不便さを解消するべくサービスも行なっています。
 介護保険導入前から先駆けて始めた介護タクシー事業は今年で5年目を迎え、車椅子はもちろん、利用者の要望に応えてストレッチャーでの乗車も可能です。ヘルパーの資格を持つ女性ドライバーが専属で対応しており、細やかな気配りに利用者の評判も上々です。
 更に昨年10月にはマイクロバスによる輸送サービスを始めました。市のバスだけでは対応しきれないという学校等部活動の遠征や、グループでの旅行の外、飲食店の方からバスの維持費が大変だという話を聞き宴会送迎等での利用もお薦めしています。地域内でお互い助け合いカバーしあえればと考えており、まだ始めたばかりなので皆さんからどんどん要望を聞かせて欲しいと真新しいバスを前に力が入ります。
 いずれのサービスも許認可事業者として、地域の移動手段というだけでなく、「安心・安全」も一緒に乗せて取り組んでいます。

 

地元に根付いたサービスを

 創業から二十年。様々な事業を展開する(株)ツカダ運輸ですが、社員数はほとんど変わっていないと言い、資格取得など社員教育に力を入れて対応しているそうです。
 明るい会長と、根っからの体育会系とおっしゃる社長の親しみやすい人柄により、社内は明るくアットホームです。地域の人達のためになる事をしたいというお考えも、この温かな雰囲気から生まれるのだと思いました。
 これからも地元に根付いたサービスを提供し、地域になくてはならない存在でありたいと語る表情に、会長のポジティブ精神を受け継いだ若き社長のパワーを感じました。

 


車両は大小合わせて36台

県外へも出掛けられます