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商工連ニュースにいがた掲載記事

[まちの元気じるし]割烹 品和亭:吉川商工会(商工連ニュース18年9月号掲載)

上越市吉川区は、資の北東部に位置し、昔から農業の盛んなところです。おいしいお米が取れる地域として、又日本酒の仕込みに欠かせない「五百万石」の作付けが盛んな地域として知られています。
山の幸はもちろん、日本海にも近く、海の幸にも恵まれた当地で「割烹 品和亭(しなわてい)」を営む高橋孝一さんを訪ね、お話を伺いました。

割烹 品和亭
住所:新潟県上越市吉川区原之町1360番地

TEL:025−548−2008
FAX:025−548−3702

すべては自分の責任で

 創業120年の歴史を持つ品和亭は予約のお客様を主体に営業しています。1階と2階に大広間があり、広く取った窓からは米山を一望することができ、初夏には場々谷池に咲くハスの花堪能できるそうです。来て頂いたお客様にゆっくりとくつろいでもらいたいという経営方針に基づいた営業形態となっています。
 孝一さんは今から15年位前、22歳の時に家業を継ぎました。父を早くに亡くし、必要に駆られてのことであったといいます。「当時は町や企業にも活気があった。若かったが“自分の責任で”店を大きくするという意思が人より強かったと思う」と話されました。そのため、色々なところを見て回り、取り入れなくていけないものやここは違うなというものを自分なりの考えで判断をしてきたそうです。

店の信用を築くために

 店に入った当初は、地域にある料理屋の中でお客様からの指示が最下位であったといいます。信用を築くには、料理だけではなく給仕を含めた総合力が大事だと考え、当時はまだ浸透していなかった料理の提供方法を取り入れて、温かいものは温かいうちに召し上がっていただけるようにタイミングを計ってお膳に運びました。はじめは料理が間に合わないのではないかという不安を与えていたようですが、お客様のことを最優先に考えた取り組みを継続することで、信用を積み上げることができたといいます。
 狭い商圏の中では、同じお客様が繰り返し来店されることが多く“またか”と思われることがないように、その日に出した献立はメモ書きで残してあるといいます。予約時の情報でメインとなる料理が同じにならないように気を配っているそうです。

自慢の一品

 品和亭には自慢の一品料理があります。「とりのから揚げ」。誰でも口にしたことのある料理ですが、かけてあるタレに特徴があり、祖父の代から注ぎたし注ぎたし続いているものだそうです。熟成された甘辛のタレは東京仕込みで、昔からこの地域の味となっています。イベントの際には屋台で出店し、好評を得ているそうです。中にはタレを売ってほしいという声もあるほどです。地元のおばあちゃんからは親戚や孫に送ってほしいという注文を受けたこともあります。いずれはネットを使った全国展開に挑戦したいという思いも語って下さいました。

顧客に合わせた料理を

 合併前は町関係者の利用が多かったようですが、現在は誕生祝や快気祝い、法事などで地元の多くの方からご利用頂いています。ちょっと飲みにいこうかというお客様には予算に応じて対応しています。遠方からのお客様には、昔からの郷土色の強い料理や田舎料理と呼ばれているものを、地元の食材を使い海鮮をメインにして、新しい料理方法で提供しています。鮮魚は気心の知れた仲買さんから仕入れ、米や山菜は地元の方からわけてもらったものです。「余分なものは仕入れません。余分な仕入れはロスにつながり、ロスを惜しんで仕方なく食材として使うことはしたくありません。」と話して下さいました。

地域全体に活力を

 一人では出来ないことも連携することにより可能になることがあります。店作りは街づくりと同じで総合力が問われます。最終的には人が動かしているものであり、人を中心とした企業経営や市域振興につなげていきたい。他業種の方もいっしょになって地域のことを考え、お互いに刺激を受け合いながら、自分自身をレベルアップさせるとともに地域全体の活力を取り戻していきたい。と意気込みを語って下さいました。