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商工連ニュースにいがた掲載記事

[まちの元気じるし]糾テ泉堂:小出商工会(商工連ニュース18年6月号掲載)

魚沼市は新潟県中越地区の近隣6町村(小出町・堀之内町・湯之谷村・広神村・守門村・入広瀬村)が平成1611月に合併して誕生した新しい市です。雄大な自然に囲まれ、福島県との県境に位置し、日本の元風景をそのままに四季折々の景色を堪能できます。
今回は魚沼市の旧小出町にある人気の和洋菓子店、糾テ泉堂をお訪ねし、代表取締役の和田晃さんにお話を伺いました。

糾テ泉堂
住所:新潟県魚沼市小出島491-1

TEL:025−792−0419
FAX:025−792−2176

親子の菓子職人

 創業は昭和21年。終戦後、生まれ故郷の小出町に戻ったお父様が菓子職人の腕を活かし和菓子の卸をしたのが始まりです。数年後に店舗を構えますが河川改修のため移転を余儀なくされ、お店としての立地等を考慮して今の本町通りへ移ることを決意し、現在は湯之谷店との2店舗で営業をしています。
 お菓子と言えばまだ和菓子が主流だった時代にご主人は洋菓子の分野も学び、当時からお店には親子二代で作る和洋様々なお菓子を取揃えていたそうです。店内には数十種類もの色彩豊かなお菓子が並べられ、その一角には和菓子職人だったお父様が長年愛用されていたという松竹梅や鯛を模った手彫りの木枠が飾られていて、その歴史を感じることが出来ます。

新商品開発に向けて

 味はもちろんのこと洋菓子の物珍しさもあって売上は年々上昇し、景気のいい時期には前年比が2倍となることもあったとか。やがて不景気となり売上は減少。そこで心機一転、「ここにしかない新しいお菓子を作り出そう」と決意。これが新商品開発の第一歩となったのです。他にはないお菓子を作るなら地元の素材を使うのが一番だと考えたご主人は、特産のコシヒカリや新鮮な地場産野菜・果物など様々な食材を吟味し試作を重ねます。今までお菓子とは縁遠かったあらゆる食材を使ってきたそうですが、新商品の開発は、素材選びからレシピまで全てを考えなければならない苦労があり、その試作の数は百を超えると言います。

地酒ケーキで“全国連会長賞”受賞

 そんな時、昔から馴染みのあるブランデーケーキをヒントに日本酒のケーキがあってもいいのではと、地元酒蔵の協力を得て地酒ケーキの試作を始めます。最高の地酒と自慢のカステラがひとつになるのだから特別美味しく出来上がるだろうと期待は大きかったそうですが、初めは双方の風味が全く生かされず失敗の連続だったと苦笑されるご主人。素材同士のバランスや味の相乗効果を表現する難しさを痛感。商品化するまでには大変なご苦労があったようです。試行錯誤の末、日本酒の香りを最大限に生かすべく、淡白で甘みを抑えたシンプルなカステラを焼き上げ、合せる日本酒に高級な大吟醸をブレンドしたところこれが大成功。しっとりとしたカステラから芳醇な香りが漂います。「大吟醸は香りが格段にいい。他と食べ比べてもらえば違いがよくわかる」と自信を見せます。
 完成した地酒ケーキは周囲からの評判も良く、昨年暮れの全国推奨観光土産品審査会へ出品し、見事、全国商工会連合会会長賞を受賞されました。「この受賞は地元魚沼の味が全国的に認められた証だと思う」と満面の笑顔を浮べます。

自然を活かした街づくりを

 田舎には、一番の魅力である「自然」がたくさん詰まっている。みんながひとつになって魚沼の豊かな自然を活かした新たな街づくりを目指し、それぞれが持つ技術や得意分野で商店街を活気付けていけたらとご主人は目を輝かせます。人間と同じでお菓子も商売も個性が大切だろうから、これからも独自色を持たせながら本当に美味しいと思ってもらえるお菓子を作り続け、大好きな地元魚沼を広くPRしていくことが自分に与えられた使命だと思っていると語り、今後の目標は、コシヒカリに次ぐ新しい特産品の発掘とそれを使った新商品の開発だと意欲を見せます。長年かけて作り出してきた愛情たっぷりのお菓子。その製造は機械に頼らず殆ど手作りされているのだそうです。パッケージや包装紙のデザインまでも自ら発案されるといい、そんな所からもご主人のお菓子に捧げる情熱が伝わってくるようです。