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商工連ニュースにいがた掲載記事

[まちの元気じるし]農家民宿 どぶろく荘:牧商工会(商工連ニュース18年4月号掲載)

上越市と合併をした旧牧村には、国指定史跡の宮口古墳群や歴史民族資料館、温泉を利用した滞在施設や体験宿泊施設、自然と憩いの森などがあり、詩情あふれる安らぎの里として四季折々の風情を楽しめる自然豊かな山村地域です。牧区の中央には国道405号線が縦断し、北陸自動車道上越インターまでは近距離にあります。
今回は豊かな自然の中で「農家民宿どぶろく荘」を経営する中川卓夫さんを訪ね、お話を伺いました。

 農家民宿 どぶろく荘
  住所:新潟県上越市牧区坪山1055-3
  TEL/FAX 025-533-5643

農家民宿開業

 東頸城農業特区の適用を受けて、農家民宿の許可を取り平成16年12月に開業しました。当初は田舎体験学習の児童や生徒の受け入れが中心でしたが、濁酒(どぶろく)の製造許可を翌年6月に取得し、本格的な営業に入ったといいます。民宿を行なうキッカケは、どうしても自分でどぶろくを造りたいという想いとこれを利用して、薄れ始めている人と人との交流に役立て、昔の思い出に花を咲かせながら、心のゆとりを持ってもらいたいという想いからであったといいます。民宿の名称もズバリ『どぶろく荘』にしました。

どぶろく製造への想い

 専業農家をしていた中川さんは、冬は造り酒屋に出稼ぎに行き、酒造りを18年間経験しました。杜氏の経験を持つからこそ、自分の酒を造りたいという想いは強かったようです。「酒造りは生き物を扱うのと同じです。温度管理により微妙に変化し、マニュアル通りには行かず長年の経験が必要です。納得のいくものに仕上げるためにはもろみの顔をみて話をしながら作っています。子供と話をするようなものです。もろみの気持ちを思いながら温度管理し、それに応えて良いものができると嬉しさと満足感があります。」と話して下さいました。現在は飲む人の気持ちを考えて辛口と甘口の2種類を造っています。縁あって、銀座にある料亭『新橋 金田中(かねたなか)』から評価を得て、お店で取扱っていただいたそうです。

地域の魅力をアピール

 文明社会が栄え、生活様式は格段に進化してきましたが、昔の良さを見直し、故郷や田舎・自然への回帰という動きが出始めています。この地域には豊かな自然と人とのふれあいがあります。農業とはどんなものなのか、田舎の良さとはどういうところにあるのかを分かってもらうためには、実際にこの地域に足を運んでもらい、見たり・触れたり・食べたりと体験をしてもらわないと実感いただけません。そのために話題作りや情報発信をしながら地域の魅力をアピールしていかなければと思っています。

手料理によるおもてなし

 開業までには色々な勉強や各種申請書類の作成など苦労をされたようです。中でも一番苦労したのが、奥様の説得だったと話して下さいました。農家民宿の営業には女性の力が欠かせません。地元で採れた山菜や畑で作った野菜を材料にした料理は、奥様の手料理が中心となっています。季節に採れる旬なものや山菜を使い、昔ながらの田舎料理として食卓に並べます。見た目は素気ないように感じますが、手間隙掛けて準備をし、家庭的な雰囲気の中で美味しく召し上がっていただけるようにしています。この冬には、やわらかく仕上げた刺身こんにゃくとどぶろくを使って味付けをした鍋物が好評であったとお聞きしました。。

地域全体に活力を

 全国各地で行なっている故郷回帰への活動に対して「土地柄やそこにある自然を生かして、自分にしか出せない特色を出していくしかない。長年住み続けた私たちがこの土地に自信と誇りを持ち、それぞれの特色を結びつけることで地域全体に活力が生まれてくる。地域が良くなるためには協力は惜しみません。地域全体が良くなり、その中の一員として私たちも生きていくのが基本であると思っています。」と話して下さいました。