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商工連ニュースにいがた掲載記事

[まちの元気じるし]荒川製材所:西山町商工会(商工連ニュース17年2月号掲載)

西山町は、近代産業に灯りをともした西山油田や豊かな緑に育まれた西山連邦・ハクチョウの飛来する長嶺大池・新潟県日本海シーサイドエリアの中心に広がる石地海岸に代表される海水浴場など彩り豊かな自然にあふれた町です。
今回は古くからこの町で事業を営む牛r川製材所の代表取締役 荒川洋一さんを訪ね、お話を伺いました。

有限会社 荒川製材所
住所:刈羽郡西山町新保1289-1
TEL  0257-48-2639 FAX  0257-48-2572

建築業界への想い

 あまり話題にしたくはないけど、「創業は明治四十年代にまで遡る。自分で4代目、当時は油田掘削も関係し製材事業が盛況だったようだ。」と、荒川社長は営業年数だけを誇りにするような企業にはなりたくないと話された。戦後、現在地に移転し、建築請負事業を行なうようになったが「今は斜陽産業だからね。でも決して悲観はしていないし、これからますます面白くなるよ。」と力強い言葉で話して下さいました。

QBC参加で意識改革

 住宅産業研修財団の行なう工務店経営研修会へ誘われ参加したことがきっかけで、業界に対する見方が大きく変わった。
 この研修会修了者で組織する優良工務店の会QBC(クォリティ・ビルダーズ・クラブ)に集まってきている方々は発想の持ち方が違っていた。仕事がないのは他人のせいではない。今まで当然のようにしてきたことも果たしてこれでよいのか考え直させられた」という。会員相互の意見・情報交換はもちろんのこと、技術的なこともオープンで自分の持つ技術は全て提供する。その一方他人の持つ技術もどんどん吸収していく姿勢が浸透し、工務店経営に対する意識改革につながったと話す荒川さん。

地元材で家を造る

 最近では企業における環境対策への取り組みや地域資源の循環型活用、地域経済の活性化のための「地産地消」などの意識の高まりから、地域の自主的な取り組みである『近くの山の木で家をつくる運動』が全国的に広がを見せているとのこと。
 県内においても地域材利用に取り組むグループが相次いで設立されており、それぞれが活発な運動を始めている。その中の一つのグループ『新潟の山の木で家を造る会』に当社は所属。この会での活動でも、又様々な面で視点が変わった。
 「家を建てるということは完成・引渡しで終わりではない。ここから家を建てた方との十年、二十年のお付き合いが始まる。家造りは、人生の大仕事であるからこそ、建築に対する情報はどんどん提供し、最良の選択をしてもらうことが必要だ。たとえ受注に至らなかったとしても縁がなかったと思うだけ、業界全体を考えれば、決して無駄にはならない」と地元材での家造りに力を注ぐ言葉に確かな響きを感じる。

人材育成と顧客満足度の追求

 当社の将来像を聞いてみた。
 「若手を育成すること。毎年一人ずつ大工の採用をしていきたい。」と語る。現在も若い人をテクノスクールに送り込み研修中だという。
 「若手が育ってこないと事業として成り立たない。
1520人の大工で体制を整えることができれば年間通してスムーズな事業活動が可能になる」という。
 斜陽産業と言われ若者から目を背けられがちだが、自分の手で建物を造ることの充実感・やりがいを引出したいと話す。
 そして取材中一貫して口にする言葉は『顧客満足度の追求』。そのためにこそ社員・協力業者との研修会や大工の力が充分に発揮できる予算・工期の設定などが大切と指摘。
 社長の会社に対する想いは、利益の追求だけではなく、仕事を通じて人を育てること。そして誰にでも家を建てることの楽しみを提供し、満足のいく我が家を建ててもらうこと。顧客満足の実現と地域に根ざした企業の役割を果たしたいという想いをひしひしと感じながら企業訪問を終えました。