Tokamachi Center Web

商工連ニュースにいがた掲載記事

[まちの元気じるし]水原屋:妙高村商工会(商工連ニュース16年8月号掲載)

仏典由来の「須弥山」とも「越後富士」とも形容される妙高山の麓に位置する妙高村。
古くからの温泉郷を持ち、夏の登山や冬のスキーなど豊かな自然を求めて、四季を通じて多くの観光客が訪れています。
今回はこの妙高村を訪れる観光客や地元住民の食文化を支える豆腐の製造販売や精肉販売を営む巨原屋の後継者、豊岡裕司さんにお話を伺いました。

有限会社 水原屋
 中頚城郡妙高村関山1673‐22
 TEL :025-582-2103
 FAX :025-582-2104
豆腐工場
 中頚城郡妙高村関山2079-11
 TEL/FAX :025-582‐2128

企業の沿革

 先々代が当地において豆腐・精肉の販売を創めたのは昭和23年に遡る。新井市の水原地区から旧関山駅前通りに出店し、39年に法人を設立した。駅の移転にあたり、店舗も現在地へ移転している。代表取締役の父豊岡栄二さんのもと、裕司さんと母・妻・パート従業員5人で豆腐の製造から、スーパー・小売店・旅館への配達、そしてお店での販売を分担して営業している。近年、観光客の減少により当店への影響も出ているようであるが、自慢の豆腐は良質の井戸水に恵まれ、自信を持ってお客様の食卓へ提供している。豆腐製造で生じる副産物のおからは産業廃棄物の扱いとなるが、当店では養豚業者の飼料として使ってもらっている。又ゴミ半減県民運動の協力店として環境に配慮した企業経営を行っている。

地元への貢献を目指す

 当店のモットーは“地元への貢献“にある。
「この地で店を構えている以上、地元への貢献が大切。単なる利益の追求だけにとらわれず、地元に密着し、地域の住民に喜んでいただける店づくりをしたい」と話されていた。後継ぎとして店に入り、すぐに商工会青年部に加入。部長を2期歴任し、この間、地域の人に楽しんでもらうイベントの開催に力を入れてきたそうである。当初、行政と商工会とはあまりしっくり行っていなかったが、お互いの役目を認めることから始め、今では良い協力関係が成り立っていると伺った。青年部での活動を通じていろいろな人とのつながりが生まれ、この人的交流が企業経営にも結びつき、より強固な地元密着型の経営になっているようである。今年度は村制50周年にあたり、様々なイベントが予定されているようで、この実行委員会の一員を引き受け、時間と労力を惜しまず、「地域への貢献」を実践している。

子供達の育成のため学習塾

 教員免許を生かして、豆腐工場の2階部分を使用し、夜は中学生を対象にした学習塾を経営している。週5日間、数学と英語を約30名の生徒に教えている。妙高村には古くからスキーを中心としたスポーツ向上に対する環境が整っていた。しかし、学力を高めるための環境も必要という思いから、自分の培ってきた知識を基に、この地域の子供達の育成を学力向上という観点から支援したいという思いで開校した。当初は大手学習塾の系列として開始したが、都会の教育環境を対象としたシステムが当地域の実情には合わないと考え、今は脱退して独自の教育方針で運営している。先にも述べたようにいろいろな人との交流があり、学校関係者からも学習塾の運営に理解を得ている。ゆくゆくはNPO法人を設立し、学習塾を運営できればと考えている。ここにも地域密着型の考え方がうかがえる。

趣味がこうじて

 冬に開催される「妙高ライン滑降スキー大会」。ここにも豊岡さんの地域を思う足跡が記されている。小さい頃から絵を描くことが大好きだった豊岡さんにある時、村教育委員会から大会のPR用ポスターやパンフレットを製作してもらえないかという依頼があり、それに応えたことから12年間、毎年この大会のポスター・パンフレットの製作に携わっている。当時はまだあまり普及していなかったコンピューターグラフィックスを使い、独学で勉強しながら描き続けてきたという。毎回試作品を塾の生徒に披露し、様々な評価を受けているようだ。この段階から大会のムードは大きく盛り上がってゆくのであろう。

豆腐を中心に

 物を売るだけでは100年持つ店はない。幸い当店には良質の井戸水を使ったこだわりの豆腐があり、この豆腐の販売に力を入れていきたいと話していた。また数年の後には店舗の改装を視野に入れており、その際には学習塾を移転し、現店舗への併設も検討しているようである。「地域への密着や地元の人に喜んでもらえる店づくり」を方針に掲げる巨原屋の後継者裕司さんにお話を伺い、地域に根ざす企業としての熱い思いを感じました。