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商工連ニュースにいがた掲載記事

[まちの元気じるし]味の横綱:黒姫商工会(商工連ニュース16年3月号掲載)

柏崎市は新潟県の日本海側のほぼ中央に位置し、変化に富んだ海岸線と、米山・黒姫・八石山系や西山連峰に囲まれたダイナミックな景観を持つ街です。
真夏の一大イベントであるぎおん柏崎まつりの海上花火大会でも知られ、毎年多くの海水浴客で賑わいます。
今回はここ柏崎市で人気のラーメン店「味の横綱」をご紹介します。

味の横綱
柏崎市大字堀2251-1  TEL:0257-32-3082
営業時間 平日 11:00〜20:00  土日祭日 11:00〜21:00   
定休日 毎週月曜日と第1火曜日

一国一城の夢

 ご主人の高橋一幸さんは柏崎市に隣接する小国町のご出身で現在32歳。大学卒業後、一度は就職されましたが、いずれ一国一城の主として独立したいという強い思いで、脱サラを決意。当時長岡で人気のラーメン店「味の横綱」の門を叩き、この道に入ったと言います。修業を積み、5年前にのれんを分けてもらい独立の夢を果たしました。
 お店の近くには大学が二つあり、アパート等も建ち並んでいますが、最初に店の候補地としてここを訪れた頃は、目立ったお店もなく閑散とした印象だったと言います。学生街のイメージとは逆に、近くに遊ぶ場所もないようで、学生たちが気の毒にも思えたのだとか。そこで高橋さんは視点を変え、人通りも少ない静かな所だがここに店を開いたら学生や周辺の人達に喜んでもらえるのではないか、お客様に喜んでもらうことが自分にとってのビジネスチャンスと考えて、この場所に決めたのだそうです。開店当初は知名度もなく週末の夜にお客さんが一人も来ないこともあったと言います。
 「この時期に、新しいメニューに取組んで、じっくりと味を作り上げることができたので結果的には良かったのかも知れない。」と当時を振り返っておっしゃいます。

味とサービスへのこだわり

 「味の横綱」の自慢は白と黒の二種類のしょ うゆラーメンです。開店当初から一番人気の 「白ラーメン」は修業先直伝のあっさり系。少 し濃い目の「黒ラーメン」は学生達の声をヒン トにご主人が試行錯誤して作り出したこって り系の一押しの味。更にこだわりのやわらか チャーシューが絶品と評判です。白ラーメン  500円、黒ラーメン550円という値段も魅力で す。平日は学生向けにライスの無料サービスを実施。
 学生時代に通った食堂が同じようなサービスをしてくれて、とても嬉しかったというご自身の経験からの発案だそうです。
「お客さんの半分以上が学生さんだし、できるだけ気軽に、たくさんの人に来てもらいたいから、なるべく値段は安くしている。若い頃は昼も夜も関係なく腹が減る。腹が減ったらいつでも食べてもらえるように営業時間中は絶対に店は閉めない。」というご主人の気持ちが通じてか、一日中店は賑わいます。開店から五年、「常連だった学生が今度は社会人として、成長した姿を見せてくれるのがまた楽しみ。」とお兄ちゃんのような笑顔を浮かべる高橋さん。「自分が嬉しかったことをしてあげたいと思っているだけ。」と照れながら話してくださいました。
 地元での評判が伝わり、情報誌などで紹介されるようになり「味の横綱」の名声は広まっていきました。週末には、広いお店も遠方から足を運ばれるお客さんでいっぱいになるほどの人気ぶり。
 「雑誌に掲載されるとお客さんの入りが全く変わってくる。注文が捌けないのではという怖さを感じることもあるが、手を抜けばすぐに評判は落ちる。どんなに忙しくても美味いラーメンを作ることに集中し、絶対に手は抜けない。」と腕にも力が入ります。「ラーメンは生き物でありスープは一日一日変化する。」と、人気店となった今でも納得のいくスープ作りに余念がありません。

店主として、父として

 開店以来ラーメン作りはご主人ひとりで担ってこられましたが、営業時間も長く体力的にも大変だと感じはじめていた頃、アルバイトの高校生が「やりがいのある仕事」と言って、この春から正社員として店に入ってくれることが決まったそうです。 「ちょうど人手が欲しいと思っていたのでタイミングが良かった。将来は自分の片腕としても活躍できるよう、自分がしてもらったのと同じようにいろいろと教えてあげて、育ってもらいたい。」と大きな期待を寄せています。
 「将来的には多店舗展開も考えているが、それも時代の流れとタイミング次第。」ご主人は何事もこんなふうにタイミングが大切だとお考えです。
昼間は人気ラーメン店の店主として忙しく働くご主人も家に帰れば二人のお子さんを持つ一家の大黒柱。「仕事が忙しくて朝六時半から夜も遅くまで店を離れることができない。普段は子供の寝顔しか見られず、家族と一緒に過ごす時間が少ないのが悩み。幼稚園に行くようになるとますます淋しくなりそう。」と優しいお父さんの顔ものぞかせます。
 「伝わり方はそれぞれ違うけれど、自分の気持ちをカタチにすることで、食べに来てくれるお客さんはもちろん、働いてくれる人や家族みんなが幸せになれるような道づけが出来たら嬉しい。」と瞳を輝かせるご主人でした。