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商工連ニュースにいがた掲載記事

[まちの元気じるし]本格江戸前鮨 出前専門店 美乃和:広神村商工会(商工連ニュース15年11月号掲載)

新潟県北魚沼郡の中央部に位置する広神村。東は入広瀬村、西は堀之内町と古志郡山古志村、北は守門村、南は湯之谷村と小出町に隣接する豊かな自然に囲まれた所です。
今回はここで本格江戸前寿司の出前専門店「美乃和」を紹介します。

有限会社美乃和
 魚沼市今泉1479‐5
 小出郷店フリーダイヤル 0120‐68‐3210
 オフィス  TEL 02579‐9‐3210

「美乃和」の由来

 社長は40代の若さながら鮨店の経営歴は既に四半世紀以上といいます。10代から県内外の名店で修行を重ね、25歳の時には現在のお店を新築、店名を「美乃和」としました。近くに日本一と言われる薇(ぜんまい)産地があり、そこで取れる薇のように、太く、長く、日本一を目指す心意気から、その地名にあやかって名付けたと言います。後に祖母の旧姓であると聞かされ大変驚いたそうです。
 「同じ名前の宝石屋さんがテレビやラジオで宣伝してくれて助かっている。」と笑っていらっしゃいました。時に資金繰りに難儀したこともあったそうですが、様々な運に恵まれ、鮨でお客様に喜んでもらうことに関しては勉強もし、努力も続けたので経営はまずまず順調だったといいます。

出前専門店へ 

 一大転機が訪れたのは今から10年前。早朝からの仕事なのに客商売の宿命で深夜まで店を開けることが続き、ついには体を壊してしまいました。医者には長時間の立ち仕事は無理と宣告され、病院のベッドで思い悩んだ末、もともと出前の割合の多い店だったのでこれに賭けてみようと考えました。売上は落ちてもロスが減り効率が良くなる、酔客等の相手が要らず営業時間が限定できる、なによりプライドを持って鮨を握れるので決断したそうです。
 店の周辺だけでは絶対的な客数が足りないので配達エリアは半径20〜30キロ圏まで広げ、北魚沼の一円をカバーしています。山間の地では集落が沢ごとに分れていて効率は良くありませんが、全部自分で出かけて所要時間等を計測して範囲を決めています。もちろんそれ以上遠いからといってお断りすることはせず、できるだけの対応を心がけます。多くのお店が自分の町内程度しか出前をしない中で、これはうけました。きれいに盛付けられた色鮮やかなお鮨に子供たちの歓声が上がることも度々といいます。

お客様第一主義

 経営のモットーは鮨への『情熱』、お客様への『熱意』、美味しさを追求する『執念』とおっしゃいます。様々な会合、特に主婦・婦人の集りには必ずちょっとしたサービスで喜んでいただくよう心がけます。まず奥様方にアピールすることが大切と考えているからです。
 出前や鮨桶回収にはなるべく社長が出かけます。スタッフにいつも「安くはないお金を頂戴するんだから、値段以上の鮨を作ってくれ。」と言っているそうですが、出来栄えの最終確認とお客様の本当の声をお聞きする一番の機会と捉えています。回収に伺うと感謝のメモが添えられていたり、果物や栄養ドリンクの差入れをいただくこともしばしばだとか。
 こうして集めた反応はスタッフに伝えて励みにし、チラシに反映させてお客様とのコミュニケーションに役立てます。始めは品書き紹介程度のチラシでしたが、ちょっとしたメッセージに反響があってからは、いろいろな工夫をしています。5月にはお母さんを「お姫様」になぞらえた「母の日セール」が好評でした。それを受けて翌月はお父さんを「お殿様」にして「父の日セール」をピーアールするという具合です。
 斬新なアイディアの多くは社長の閃きからといいます。いつも「お客様の『美味しい』のために」が頭にあって興味が沸けばどこへでも出掛け、味見をし、話を聞く。眠っていても思いつくことがあれば枕元に常備したメモにすぐ書き留めます。翌日にはみんなで試作して、お客様に試食もお願いします。

顧客満足120%を目指して

 こうした努力が実り現在は90%以上の高いリピート率を誇っています。 「不景気で、外で宴会をするより出前でも取ってという風潮が会社にも家庭にもあって宅配が受けたと思う。」社長はここでも運に感謝していらっしゃいます。
 少しずつ売上が増えるにつれ仕入先等からも一目置かれるようになり、社長が特にこだわる「生・天然・国産」ものの鮮度の良い情報が集るようになり好循環が生れています。
 「美味しいお鮨を、安心して、お腹一杯、大勢の人に喜んで食べてもらいたい。そのためにはエリアを広げたり多店舗化も考えている。出来たてでしか味わえないネタもあるので、お好みで握ってすぐ食べていただくような店もやってみたい。数ある鮨屋の中から選んでいただいた期待に応えるために120%の顧客満足を目指してこれからもチャレンジしていきます。」と、優しい笑顔で新たな夢を語ってくださいました。