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商工連ニュースにいがた掲載記事

[まちの元気じるし]喫茶去:三和村商工会(商工連ニュース15年3月号掲載)

三和村は新潟県の南西部で上越地方の中央に位置し、ほぼ全域が平坦地でのどかな田園が広がっています。
平成三年に三和西部工業団地が完成し、農工調和の村づくりの基幹産業として発展しています。
今回は、そんな田園風景の中を東西に走る県道沿いに平成11年オープンした喫茶店「喫茶去(きっさこ)」をご紹介します。


専務取締役 小林律さん
喫茶去

中頚城郡三和村山高津鞍馬346
   TEL025‐532‐2944

 ◯営業 十時半〜十七時半
 ◯休業 月曜(祝日除く)

話題の店づくり

 このお店のオーナー小林嘉一さんは、汲j・M・Cの代表取締役として他にもサイレントハウス(不動産賃貸 東京)と国府堂(古美術店 上越市)を経営されてます。
 東京暮らしも五十年目を迎えた平成元年、「これからの半生は少しでも環境のいい田舎で」との想いから、東頸城郡浦川原村に、それから5年後、国府堂オープンを機に現在は上越市国府に居住されています。
 「都会の弱点をつけば田舎でも商売は成り立つ」との持論から、周辺町村で空き家探しの末、購入したのが三和村の県道沿いに建つ築百年以上の古民家でした。
 一部修復を施した店内は、アンティーク家具や雑貨が、石畳の土間や柱・梁(はり)と調和し、ヨーロッパ風のモダンな雰囲気を演出しています。子供連れやお年寄りにもくつろげる小上がりや、ファンならずとも胸おどる種々の骨董品が並ぶ座敷もオーナーのこだわりです。

ミルキーの生みの親

 発売以来、ロングセラーを続ける不二家ミルキー。ペコちゃんでお馴染みのこの大ヒット商品は昭和二十六年に製品化、このとき味づくりから包装(ツイスト包装)に至るまで携わられたのが小林さんです。
 満足な機械も道具もない時代―はじめは打ちつけた五寸釘にとけた飴を絡ませてのばすといった手作業だったそうです。自ら近所の機械工場に赴き、引き飴機をつくってもらうなどこの味が世に出るまで試練の連続でした。
 その後雪印乳業に勤務、退社後の現在も食品コンサルタントとして、洋菓子やアイスクリームの開発指導を中心に活躍されています。
 浦川原村のコシヒカリアイスは小林さんが県内で最初に手掛けた特産品です。米離れがすすむなか、棚田で懸命に米づくりに励む農家を目にしたことがきっかけでした。「この米を原材料に何とか商品開発できないものか」と思案していた折り、ちょうど村の特産品開発の話が舞い込み、描いていたコンセプトをもとに取り組んだそうです。
 その後近隣市町村の特産品が小林さんの手によってつぎつぎ生まれました。


店内

アメリカンワッフル

喫茶去(いらっしゃいませ…)

 喫茶去とは禅語で「いらっしゃいませ。お茶をどうぞ。」という意味があるようです。地名(字名)が京都の鞍馬と同じだったことから、その地で馴染み深いこの言葉を店名にしたそうです。「喫茶去」と書かれたのれんが目印です。
 このお店を切り盛りしているのは、オーナーの息子さん(Iターン)ご夫妻です。お二人の人柄と心くばりからは、店名どおりの「おもてなしのこころ」が伝わり心が和みます。
 メニューは、手作りケーキ・アイスクリーム(ジェラート)・じっくり煮こんだハッシュドビーフ・ビーフカレーなどがあり、ランチのみのお客様も満足いただけます。
 手作りでやさしい味わいの数々はその道のプロであるお父さんの折り紙つきです。

これからの展開

 「この店の価値を生かすまちづくり。地域と連携し、ここに育てていただきながら、この地を盛り上げていきたい。」というのが小林親子の一貫した経営理念です。
 夢は、この地域の素材でつくる『本物の加工食品』の開発とのこと。豊富な経験と確かな技術で実現もそう遠くはなさそうです。まだまだこだわりと情熱は果てしなく続きます。
 ドライブがてらちょっと一休み、ではもったいない喫茶店。是非訪れてみてください。