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商工連ニュースにいがた掲載記事

[まちの元気じるし](株)寺泊浜焼センター:寺泊町商工会(商工連ニュース15年2月号掲載)

寺泊町は日本海に面した新潟県のほぼ中央、本土から佐渡まで最短距離に位置しています。
海岸沿いの国道402号線を走ると、毎日のように県内外から日本海の幸を求める人たちで賑わう観光スポット「魚の市場通り」(通称「魚のアメヤ横丁」)が見えてきます。
今回はその市場通りで活カニ直販と浜焼きの店「金八」・食堂「しおさい」、また水族館前で旅館食事処「きんぱち」を経営されている(株)寺泊浜焼センターの山田栄三郎社長をお訪ねしました。


活カニ直販と浜焼きの店「金八」

代表取締役 山田栄三郎氏
(株)寺泊浜焼センター

三島郡寺泊町上荒町9353‐545
   TEL 0258‐75‐2552
   FAX 0258‐75‐2988

浜焼きへのこだわり

 社長が板前の修業を終え、料理の道に夢を求め地元寺泊に戻ったのは、今からおよそ三十年ほど前のことでした。当初仕出し料理の片手間のつもりで、浜焼きを始められたそうですが、新メニューを加えるなど工夫を凝らしたりしていくうちに評判を呼び込み、浜焼きの方が本業になってしまったそうです。
 昭和五十四年には、法人化して(株)寺泊浜焼センターを設立しました。浜焼きに軸足を移してからは市場通りの各店に浜焼きを提供するほか、首都圏デパートやスーパーでの催事にも積極的に乗出し、寺泊といえば浜焼きというイメージを浸透させてきています。 現在でも市場通りに自店を含め、五つの浜焼きコーナーを展開しているのは、「寺泊の名物として大事にしていきたいからだ」とおっしゃいます。

各お店の経営内容

 旅館・食事処「きんぱち」は以前、団体専用の食事処として賃貸していた建物に、社長自ら始めたお店です。効率優先の団体食堂にはできない、きめ細かいサービスを目指し、かつての割烹料理屋の夢を実現しようと一般個人客を対象に営業を展開しています。県下最大級の活カニいけすを有し、カニ食べ放題の格安パックなど、大きなカニの看板が物語るように、とにかくカニにこだわったお店になっています。カニを主力に据えたのは、冬場でもお客様を呼べる魅力があるから。お陰でオフシーズンでも客が途切れることはないそうです。
 一方「しおさい」は、新鮮な海の幸を楽しめるお座敷食堂になっています。自慢の海鮮料理を提供している他、一階浜焼きセンターの浜焼きや、自分でいけすから見立てたカニを、二階の「しおさい」へ無料で持ち込むこともできます。「茹でたてのカニや生きの良い魚を、その場ですぐに食べたい」というお客様の要望に応えていくうちに、こうなったと言いますが、「買い手に良い買い物をして得をした、と思ってもらえる商売をしなければ。」という社長の経営方針の現われではないでしょうか。


旅館食事処「きんぱち」

カニいけす

店名の由来について

 店名をどうするかについては悩みに悩んだそうですが、「お祖父さんたちが営んでいた金八鮮魚店の屋号にしなくてどうするの。」という奥さんの一言でこの名前に決めたそうです。ちょうど当時ドラマ金八先生が話題になっていた頃で、テレビ各局が取材に押しかけるなど意外な効果もあったようです。
 子供の頃は呼ばれる度にかっこ悪くていやだったというこの屋号ですが、考えてみたらGOLD(金)と末広がり(八)でおめでたい印象も与え、今ではお気に入りの名前になっているそうです。

観光地寺泊としての発展

 ところで、社長が組合長を務める魚商組合では、町民及び各団体の協力のもと清掃奉仕活動を行っているそうです。観光客に魚を買ってもらうだけでなく、美しい寺泊の海も楽しんでいってもらおうと、海辺に打ち上げられた空き缶やペットボトルを回収しています。
 また去年は、会社の従業員及び組合の社員に協力してもらい、海岸沿いの雑草を取り、そこへヒマワリ一万本・コスモス二千本を植えました。仕事を終えてから駆り出される従業員には辛いものがあると思いますが、「従業員に、雑草が根を一生懸命張り、生き抜こうとしている姿から何か感じてもらえればと思った。」と、社長は言います。
 そんな社長に将来の夢をお聞きしたところ「町や県の協力をいただきながら、渚まで車で乗り付けられるよう海岸を整備し、故郷寺泊を新潟県一の海水浴場にするのが夢だ。そのためにも海や歴史を背景にした寺泊という観光地づくりを、これからも行っていきたい。」とエネルギッシュに語って下さいました。清掃活動や草取りもこの夢からくる町の発展を願った行動であったようです。
 故郷に対する愛着からくる、この大きな夢に今後期待したいです。