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商工連ニュースにいがた掲載記事

[まちの元気じるし]そば処 芭蕉亭:清里村商工会(商工連ニュース14年11月号掲載)

上越ICから国道一八号線を長野方面へ進み、交差する県道一九八号線を東へ進むと清里村へ入ることができます。
清里村は、新潟県の南西部中頸城郡のほぼ中央部に位置し、平坦地域と山間地域に二分されています。
美しい自然と緑豊かなこの村で今回、厳選した素材と本場信州で鍛えた技でこだわりのそばを打ち続けている「そば処芭蕉亭」を紹介します。


 

常田清和さん
そば処 芭蕉亭

中頸城郡清里村平成一九〇‐七
  TEL 025‐528‐4605
  FAX 025‐528‐4724

創業

 芭蕉亭二代目である常田清和氏からお話を伺い、「当初は農業を営んでいましたが、高原野菜を収穫するには難しい土地だったので、現社長である常田富男氏が農業を辞め、そば屋へ転身し、姨捨(おばすて)で有名な長野県埴科郡戸倉町で創業、屋号はこの地を訪れたことのある松尾芭蕉から取り、『芭蕉亭』と名付けました。信州で十四年、新潟では七年目になり、創業二十一年です。」と、おっしゃいました。
 新潟へ移ったきっかけは、店舗が道路にかかり、長野県内で土地を探していましたが、条件の合った場所がなく、新潟へ行く機会があった時に見かけたのが始まりで、中郷村、新井市で探し、そして現在の清里村へ行き着いたそうです。当時は近所の方から食べに来てもらうことが多かったそうですが、今では遠方から食べに来るお客様も増えてきました。


こだわりのそば

 材料は、その日に石臼で挽いたそば粉と小麦粉、清里村の水を使用し、いわゆるそば粉八、小麦粉二の「二八そば」です。当店では創業以来、一貫してこの配合を守っています。
『そばの実』は北海道産のものを使用。「品質が良く、安定した収穫で手に入り易く、値段も手頃で、すぐに石臼で挽ける状態であることが利点です。信州産のものや他のものも使ったこともありますが、確かに品質は良いのですが、石臼で挽くまでの手間がかかるんです。」と、ご主人は言っています。そばの美味しさの秘密は、そばの実を石臼で四回に渡り丁寧に挽くことで、そば本来の味と香りが引き立つそうです。
『水』は清里村の美味しい水を使い、更にゆでたそばを締めるためにわざわざ冷却して使用しています。
『たれ』は創業以来注ぎ足して作っている秘伝のもの。甘口で深みのある味に仕上がっています。
 盛りは多めになっており、「わざわざ遠くから来て頂いているお客様もいらっしゃるので、感謝の気持ちで多めに盛っています。」と、お客様を大切にしている姿勢が感じられました。天ぷらも同じく多めで、信州ではしめじを使っていましたが、新潟へ来てからは舞茸を使ったり、コンフリーという薬草の葉を使ったりして工夫されています。
 そばを打つ時間はお昼の時間が近くなってから一気に打ちます。「打つ」「こねて延ばす」「切る」までの全工程を一気にやらないとそばが駄目になるそうです。長年の経験からお昼に出るそばの量は判るので、一定の量だけ打ち、足りなくなったらその度にそばを打つ、【挽き立て、打ち立て、ゆで立て】の「三立て」を守っています。夜は予約制で必要分だけ用意し、飛び込みのお客様にはそばを打ってから出来上がるまで待って頂くようにしています。時にはお叱りを受けることもありますが、お客様に理解して頂くよう努力しているそうです。


作業場

製粉所

新メニュー

 当店では色々なメニューがありますが、おすすめメニューとして、「きのこおろしそば」を紹介します。
 このメニューができたきっかけは、上越ケーブルテレビでCMを出す時に、上越市出身の落語家三遊亭白鳥師匠に出演依頼したのが始まりで、何回か出演して頂くうちに親しい関係になり、お店へちょくちょく来店するようになりました。
 ある日、新メニューを考えていたご主人は、師匠に単品メニューの「きのこおろし」を勧めた時、師匠の発想から生まれた、きのこおろしをかけたそばを新メニューとして載せることにし、好評を得ているということです。

通信販売

 ホームページは早くから取り組まれていて、お店やご家族、清里村周辺の自然等の紹介、そして通信販売のページを設けて、そばは勿論、手打ちうどんも販売しています。遠方のため、挽き立て、打ち立てのそばを味わって頂けない方、ご自宅で本場のそばを味わってみたい方、是非一度ご覧下さい。

これから

 最後に、ご主人にこれからの抱負を聞いたところ、「これまで通りお客様第一に、手を抜かず、心から『ありがとう』の気持ちを忘れずにがんばっていきたい。」と語って頂きました。
 そして現在、男女問わず四十歳から五十歳位のそば打ち見習を募集中で、「そば職人は年数に関係なく、やる気次第では短期間で習得できるので興味のある方、趣味を実益にしたい方、歓迎します。」とのことでした。 優れた技と味で勝負しているこだわりのそばを是非皆様も味わってみて下さい。