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商工連ニュースにいがた掲載記事

[まちの元気じるし](有)こしじ:中里村商工会(商工連ニュース14年10月号掲載)

日本三大渓谷「清津峡」、名勝天然記念物「七ツ釜」などの景観や温泉にも恵まれた中里村。
収穫に賑わうこの地で魚沼コシヒカリの有機低農薬栽培米の集荷販売を主とし、ニンジンジュース等製造販売、またそれらのインターネット通販を営まれる汲アしじを紹介します。


 代表取締役社長 樋口武世氏
 (有)こしじ

中魚沼郡中里村田沢子950‐1
  TEL 025‐763‐4711
  FAX 025‐763‐4265

百貨店から信頼されて

 社長の樋口武世さんは一九四五年津南町生まれ。生家はよろずやでよく店を手伝ったといいます。学校を終えて就職したのが伊勢丹新宿店(本店)。これが今に到る伊勢丹との深い縁の始まりでした。
 七八年、和菓子職人の兄を誘ってUターン、和菓子店を開業して菓子や餅などを製造販売。ところが商圏などが二所帯を食べさせるには十分でなかったことから、五年で挫折。そして新宿店時代からの縁で新潟伊勢丹に入社したものの、結局四年で退職。
 八八年に現在地に現会社を設立、いわば二度目の創業です。最初は経験を生かした切り餅製造からで本当に小さい商売だったとか。この創業は非常に恵まれ、先方からの誘いを受けて伊勢丹との取引口座が開設でき、これが引き金となって他の百貨店も無審査で口座開設できたといいます。
 

米取引に取り組む

 餅をやっていたことからコシヒカリの引き合いが以前からありました。そこへ特別栽培米制度がスタートし伊勢丹と組んで米取引に参入、さらに新食糧法になって取扱高が増え、現在では米販売は年商の八割以上を占め、昨期は魚沼コシヒカリだけで一万四、五千俵にのぼったとのこと。
 伊勢丹では売場陳列のほか、今では注文により精米し伊勢丹の伝票を使って出荷し消費者には翌日届くという産直の仕組を確立しているので、特にリピート客はほぼ産直利用とか。
 しかしいい話ばかりでなく、米仕入価格の硬直性が大きな課題のようです。また、魚沼コシヒカリに代わる米は沢山あり、うかうか出来ません。現在当社でも頚城米の周知を図っているところです。

会社の概況

 会社は、村中心部から国道三五三号線を清津峡に向かう田園地帯に立地。木の香漂う事務所と工場は国道をはさんで百mほど離れているため、アンテナを設置して無線LANで結び各種データ処理、宅配伝票の印刷など社長自身を含めて情報機器をフルに活用しています。工場には精米加工、ジュース加工瓶詰めのライン。目を引くのは大型コンテナを利用した実験的な雪室です。また、昨年オープンした直売所には数々のこだわり食品を用意してあります。
 米の仕入は南魚沼・中魚沼・十日町の地域にしぼり、入荷時に風袋ごとのデータをパソコン入力し出荷時に突き合わせチェック、確実性の高い管理体制としています。


直販所

精米所

今後のネット活用展開

 運営しているサイトは2つ、自社商品販売中心の「魚沼倶楽部」は今でこそ一日一件平均で注文が入るものの、残念ながら商売としてはまだペイしていないとのこと。
 新事業展開の場として昨年から構想中なのが「「旬ネット」で、首都圏のインターネットマンションやCATV利用世帯という閉じたマーケットを対象(現在のところ約八万戸)に、全国産元から旬の時期に安価に食品を提供し決済する産直サイトを目指しています。複数の大手マンションデベロッパー・カード会社・運送会社と提携し、また全国四百産地、千を超えるアイテムを確保済みといいます。
 樋口社長は新宿伊勢丹での研修を経て昨年入社したご長男と一緒に、九月中旬のサービス開始に向けて細部の調整に当たられていました。
 地方発首都圏向けの先進的かつ大規模なこの取り組みは、県内企業の大きな励みともなり、ぜひとも成功を期待したいところです。