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商工連ニュースにいがた掲載記事

[まちの元気じるし](株)自然芋そば:浦川原村商工会(商工連ニュース14年5月号掲載)

 浦川原村は新潟県の西南、東頚城郡の最西端に位置する人口約四千五百人の村です。
 今回は深い山々に囲まれた『山の里』〜浦川原村〜で昔からこの地域に受継がれている自然芋つなぎのそばを製造し、越後の奥山の田舎の香りを食卓に届けながら元気に活躍中の「鰍カねんじょ自然芋そば」を紹介します。


 (株)自然芋そば

東頚城郡浦川原村大字長走八四八
    TEL 02559‐9‐2219
    FAX 02559‐9‐2211

会社のあゆみ

 昭和二十二年、山岸寅市社長のお父さんが衣料品販売で創業。元々は農家でしたが商売のほうに興味があり、体を壊したのをきっかけに衣料品を中心とした小売業を始めたそうです。
 山岸社長が高校を卒業し、店を手伝い始めてから六年後の昭和三十九年、お父さんが本当はこっちをやりたかったと言い、日本そばの製造販売を始めました。どこかで修行していた訳でもなく、みようみまねで作っていたので美味しいとはとても言えなかったそうです。

商売は信用が全て

 特に美味しい訳でもなく、そば屋としては実績もないので資金繰りには大変苦労したそうです。その為、そばの味より明日の支払いを考えるという悪循環だったと山岸社長は話して下さいました。
 ところが親戚関係で地域では信用の高い人が出資者になったとたん融資を受ける事ができ、資金繰りが楽になりました。このときから現在まで融資には困った事はないそうです。
 このときいかに信用が大事かと考え、今後の経営方針にも影響を与えました。

一倉定氏との出会い

 昭和五十五年、お父さんが亡くなり山岸寅市さんが社長となりました。その頃から何とか自分を変えたいと考え、社長とは何かを勉強していたところ、一倉定氏の「社長の姿勢」というビデオを見る機会がありました。このビデオによって山岸社長は人生の転機を迎えたと語って下さいました。一倉定氏は経営の成否は社長次第で決まるという信念を持ち、徹底的にお客様第一主義を標榜しています。一倉氏との出会いによって今日の自分があると山岸社長は話して下さいました。

四つのこだわり

 当地域で昔から受継がれている天然山芋つなぎのそばは素朴ながら奥深い味わいを持っています。
 この味を四つのこだわりで作り上げているそうです。 そのこだわりとは、
 『粉』・・・製粉行程を大切に考えているので責任をもって自社製粉しています。風味、香りを損なわない為に自社の石臼によりそば粉を挽いています。
 『水』・・・食べ物は水が命といわれています。当社は尾神岳の大出口泉水を使用しています。新鮮な名水を管理の行き届いた自社タンクローリーで毎日運んでいます。
 『味』・・・山芋つなぎとは越後の伝承造りで、そば粉に山芋をすり込む製法です。
 『匠』・・・厳選された素材に卓越された製麺技能士によって麺造りをしています。
 以上のこだわりで伝承の味を磨き上げていますと山岸社長は話して下さいました。

品質と環境整備

 経営理念をお聞きしたところ「品質管理と環境整備」とのお答え。
 品質管理は文字通りとして、環境整備というのは明るく清潔な工場を目指すということ。
 山岸社長は「工場というのは毎日汚しているようなものです。しかし、食品を扱っている以上、清潔であるというのは絶対条件ですよね。
 また、お客様や社員同士、お互いに気持ちよく仕事ができる環境づくりとして挨拶については徹底的に社員教育しています。」と云われます。
 工場を見学させて頂きましたが、汚れがすぐに分かるよう工場内の壁や床はすべて白く塗られています。
 また、作業中の社員に「いらっしゃいませ」とまるで普通のお店にいる感覚で挨拶され、和やかな雰囲気で見学できました。
 最後に今後の事をお聞きしたところ、現在約五十人の社員がいますが、これ以上会社を大きくしたいとは考えていないそうです。
 それより今ある商品をさらに良くしたい。ただし、こだわりすぎてむやみに価格を上げることはせず、手ごろな価格でお客様に喜ばれる良い商品を造っていきたいとの事でした。